自分の武器をチームの武器に――ジュビロの超逸材ドリブラー古川陽介が描くさらなる進化

2022年02月16日 高橋のぶこ

自慢のドリブルをチームのサッカーに「落とし込む」

トレーニングマッチではゴールも記録した古川。能力に疑いはなく、チームで唯一と言える生粋のドリブラーにかかる期待は大きい。写真:塚本凛平(サッカーダイジェスト写真部)

「ドリブル突破で、このチームで目立っていかないといけないと思っています。練習からしっかり出して、プロの場で磨いていきたい」

【PHOTO】選手権をざわつかせた"あのドリブル"が磐田でも炸裂!古川陽介、プロ初ゴールの瞬間など一挙公開

 今季、静岡学園高から加入した古川陽介。全国屈指の個人技を誇る"シズガク"の選手の中でもズバ抜けたテクニックを有し、『10番』をつけ活躍してきたルーキーは、磐田での自身の進化に意欲を燃やす。

 スピードの緩急とキレのあるモーションで、対峙する相手の上体を揺らし、逆をとって抜き去るブレーが真骨頂。今の磐田で唯一と言える、生粋のドリブラーだ。

「チームの中に自分のようなタイプは他にいないと感じている」と、本人も自覚。それだけに「もっと力をつけて、試合で違いを出して勝利に貢献したい」という思いを強くしている。

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 新たな環境でのシーズンが始動してひと月。ドリブルの通用度は、「まだ6か7割程度」。プロ選手の寄せの速さに、今まで簡単だったことを難しいと感じることが増えた。

 課題は、ドリブルからシュートやクロスに確実に持っていくことを含め、突破のプレーの精度と質を上げていくこと。
 
 だが、磐田で"違い"を出すために必要だと感じているのは、そうした自身の技術を磨くことだけではない。それ以上に意識しているのが、ドリブルをチームのサッカーに「落とし込む」ことだ。

「ジュビロでは、周りと連係した動きやパスワークにうまく関わっていくことがすごく大事です。ドリブルで攻撃にアクセントをつけることは、自分にしかできないと思っているけど、孤立してはいけない。攻撃の流れをしっかり考え、それを止めないなかでフリーでボールを受けたり、ベストなタイミングで仕掛けられれば、ドリブルがもっと威力あるものになるし、試合にも出られるようになると思っています」

「自分の武器をチームの武器にするため」に、個の突破力を磐田のサッカーにどうアジャストさせていくか。どう生かしていくか。そこに「自分のプロでの一番大きなのびしろがある」と古川は言う。

 起用されているのは、主にシャドー。同じポジションには「賢さやパスセンスが高くて学ぶべきことが多い」先輩タレントが揃う。

「うまくいかないときは、いつも周りの人に訊いて、言うことを吸収して自分のプレーや考えを作ってきた」古川にとって、彼らは壁であると同時に、頼りになるアドバイザーだ。

 なかでもよくコミュニケーションをとっているが、山田大記。シュートコースの作り方やボールを受ける位置やタイミング、味方のためにスペースを空ける動き、相手のスペースの消し方など、「自分に足りないもの」をプレーや言葉で丁寧に教えてもらい、必死で吸収している。

 

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