「旗手の活躍がなければ…」なぜセルティックの地元パブから日の丸の撤去が命じられたのか? 英国人記者が語る“本当の理由”【現地発】

2022年02月11日 スティーブ・マッケンジー

「第二次世界大戦と日本の関連」がフィーチャーされた

日本人選手の活躍により、日の丸を持つセルティックサポーターも増えている。(C)Getty Images

「グラスゴーにあるパブが日の丸の撤去を命じられた」というニュースを聞いて、驚きはしなかった。

 地方議会へ苦情が殺到し、日本国旗を取り除くように店側に通達されたわけだが、その理由として「第二次世界大戦と日本の関連」がフィーチャーされた。

 ただ、店側が「第二次世界大戦との関連なんてバカバカしい」と反論したように、それはあくまで建前だ。本当の理由は、フットボールに関係した、もっとシンプルなものだ。

 ご存知のように、グラスゴーにはセルティックとレンジャーズという、強烈なライバル関係にあるチームが存在している。

 日本の国旗を掲げたバプは、セルティックのサポーターが集まるパブとして知られている。もちろんレンジャーズのファンは店には来ない。同じように、レンジャーズのファンの溜まり場となっているパブもある。

【関連画像】まさかの炎上…日の丸を掲げたスコットランドのパブの実際の写真
 セルティックには、昨夏に加入してアイドルとなった古橋亨梧に続き、冬には旗手怜央、前田大然、井手口陽介という日本人3人が加わった。前田と旗手はさっそく躍動し、話題をさらっている。

 とりわけ旗手は、他でもないレンジャーズとのオールドファームで、2ゴール・1アシストと衝撃的なインパクトを残した。レンジャーズのファンにしてみれば、重要なダービーが「来たばかりの日本人ひとりにめちゃくちゃにされた」という印象が強い。だから、日の丸が視界に入るだけで不愉快なのだ。

 苦情を言った人のなかに、セルティックのサポーターはいなかったはずだ。また、日本人選手が次々に活躍していなければ、旗手がダービーであのようなパフォーマンスをしていなければ、問題にもならなかっただろう。

 そういう意味では、日本の選手がスコットランドでどれだけ鮮烈な印象を残しているか、それを象徴する事件と言えるかもしれない。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

【動画】衝撃の活躍!レンジャーズ戦でマークした旗手の2ゴール・1アシスト

【動画】旗手の左足絶品アシスト&前田のめったに見られない珍ゴール

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