改めて問う!日本代表は森保監督の采配・マネージメントでW杯を勝ち抜けるのか? ライバルを圧倒した今だからこそ精査が必要だ

2022年02月02日 加部 究

谷口以外は欧州経験を持つ日本。自国基準しか知らないサウジを圧倒するのは必然の流れだった

サウジアラビアとの大一番を制した日本。W杯出場権獲得へいよいよ王手をかけた。写真:JMPA代表撮影

 全面的に日本が追い風を背に戦った試合だった。

 中4日を日本で過ごせた効果は絶大で、中国戦と比べても選手個々のコンディションの良さが際立った。森保一監督が「チーム内で対戦国より強いのではないかという相手とトレーニングが出来て共通理解も進んだ」と語ったように、前戦と変わらぬスタメン組は攻守に渡る連係に一層磨きをかけていた。さらに一段と冷え込んだ埼玉の気候は、大半の選手たちが主戦場にしている欧州のシーズン中に近く、烈しい攻防でも簡単には吹かないコ・ヒョンジン主審の笛もサウジアラビア側にストレスを与えた。日本の選手たちは彼らの日常に近い笛だったので一切集中を切らさず黙々と集中し続けたが、サウジ側は鳴るはずの笛を自己判断して闘いより抗議が先立つケースが目立った。象徴的だったのは、後半交代出場したアブドゥル・ハミドが守田英正のプレッシャーを受け、笛を要求しているうちにコントロールを失いタッチにボールを出してしまったシーンで、守田の不敵な笑みも両者のコントラストを映し出していた。
 
 両国ともに重要な主力ふたりを欠く試合だったが、谷口彰悟以外は全員が欧州経験を持つ日本が、自国基準しか知らないサウジを圧倒するのは必然の流れだった。吉田麻也、冨安健洋が不在でも、CBとインサイドハーフで合わせて4つの要所に川崎出身者を配したこともスムースな流れを促進。板倉滉は「判っていることでもしゃべり続けて確認した」と振り返るが、田中碧と守田の左右の入れ替わりや、4人が互いに関わるサポートやカバーリングなども混乱がなかった。

 序盤主導権を握りかけたのはサウジだった。2列目の3人が中へ入り両SBを高い位置で幅を取るサウジは、とりわけ左サイドの連携から仕掛けに入り突破口を見出そうとした。いずれにしても日本の右サイドでの攻防がカギになったわけだが、サウジが自信を持って前にかかってくる強みを日本は逆手に取って先制する。相手のバイタルエリアで受けた伊東純也は、遠藤航に落とすと一気に右裏へと長駆。このアクションを見逃さずに酒井宏樹がロングパスを送り込みカウンターを結実させた。

 だがそれ以上にはっきりと明暗を分けたのは後半の入りだった。開始早々から伊東がGKへ圧力をかけると、南野拓実が連動して高い位置からのスローインを獲得したが、この流れを途切らせることなく追加点を奪い切った。伊東のスーパーゴールも起点を探れば、バイタルエリアでの3人が囲い込む果敢な守備で、その後も遠藤が鋭い読みと出足で回収し、2次攻撃へと繋げるパターンが続いた。
 

次ページ不測の事態をこうして乗り切れたことを、指揮官は重要な教訓としてほしい

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