金田喜稔がサウジ戦を斬る!「4戦連続で無失点。守備の充実は明らかだが、世界を見据えれば物足りない」

2022年02月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

根気よくプレスをかけて危険の芽を潰す

最前線で身体を張った大迫は、得点こそなかったがディフェンス面での貢献度は高かった。ただ世界を見据えれば、グループでハメるような守備戦術の向上も求めたい。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 サウジアラビアとの大一番、日本は2-0の完勝を収めた。試合が始まって、しばらくは膠着状態が続いたけど、32分に南野のゴールで均衡を破る。南野は、これが最終予選で初得点。本人にとっても大きかったんじゃないかな。

 その南野の先制点をお膳立てしたのが伊東だ。酒井からのパスに自慢のスピードで抜け出してクロスを入れると、ゴール前で大迫がスルーして、ボールを収めた南野が相手DFをかわし、左足でねじ込んだ。

 注目すべきは、酒井から供給されたボールを、伊東はダイレクトで折り返したこと。ワンタッチして、ひとつ前に持ち運んでいたら、タイミング的にも南野にはつながらなかったと思う。ゴール前の状況を把握できていたからこその判断で、コンディションの良さを感じさせた。

 50分には強烈なミドルシュートで追加点も奪ってみせた。最終予選では、これで4戦連発。サウジからも警戒されていたはずなのに、それをものともせずに決定的なシーンを作り出す。文字通り、スーパーな活躍ぶりだった。

 伊東の存在そのものが戦術になっていると言っても過言ではない。それと同じぐらい、今の森保ジャパンの"心臓"になっているのが、アンカーの遠藤、インサイドハーフの守田、田中という中盤の3人だ。

 彼らが凄いのは、いずれも守備的なタイプで3ボランチ気味に見えつつも、攻撃センスも備えていること。相手からボールを奪った瞬間に、気の利いた縦パスを入れられる。キープしても簡単に取られないし、落ち着いてゲームをコントロールすることもできる。
 
 流動的にポジションが入れ替わっても、バランスは崩れない。試合を重ねるごとに、連動性は高まっているように感じる。チームの中枢として本当に頼りになる働きぶりだ。

 もちろん、守備面での貢献度も高いが、それはチーム全体にも言えること。球際で激しく戦うし、攻守の切り替えも素早い。誰もサボらずに追いかける。

 とりわけ前線3人の献身的なディフェンスは評価したい。サウジは相手の背後をシンプルに狙いながら、そこを突く動き出しに合わせて後方から一気にロングボールを放り込んでくる傾向にある。だが、サウジは思うように迫力のある攻撃を繰り出せなかった。理由は、日本の前線の選手たちが根気よくプレスをかけていたから。早い段階で危険の芽を潰し続けたおかげで、日本はほとんど危ない場面に遭わなかった。

【PHOTO】強烈な一撃で貴重な追加点!4試合連続ゴールと大暴れした伊東純也!
 

次ページ短い時間でも好パフォーマンスで評価を高めていたが…

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