「カマダはファンタスティックだ」指揮官が絶賛する鎌田大地は何が凄いのか。攻守両面の“止まらない進化”に迫る【現地発】

2022年02月01日 中野吉之伴

監督からの新しい要望を高い次元で実現している

攻守両面での成長で評価が急上昇している鎌田。(C)Getty Images

 フランクフルトでプレーする鎌田大地は今シーズンここまでリーグ19試合、ドイツカップ1試合、ヨーロッパリーグ6試合と公式戦合計で26試合に出場している。リーグ戦の出場時間数1413分は、チーム内でFWラフェエル・ボッレ、GKケビン・トラップ、MFジブレ・ソウに次ぐ4番目となる。

 今シーズンから指揮を執るオリバー・グラスナー監督からの信頼は非常に厚い。それこそ記者会見などで鎌田のプレーぶりを「ファンタスティック」とほめることも多いわけだが、彼の何が評価されているのだろうか。

 今シーズン序盤、フランクフルトはグラスナー色というか、ボールを失ったらすぐに奪い返しに行く「ゲーゲンプレッシング」がチームにとって大事なキーワードの一つとされていた。ただ指揮官は、ボール保持者に迫るだけではなく、「ボールを奪い取れ」というところをチームに強く求めた。

 例えば、2節のアウグスブルク戦ではミランから移籍のノルウェー代表イェンス・ペッター・ハウゲやデンマーク代表イェスパー・リンドシュトロームがスタメンで起用された。2人ともインテンシティが高く、連動性のあるプレスと奪った後の素早い攻撃という点で、グラスナーの戦術を体現するプレーヤーとして評価されていたわけだ。
 
 ただ、この2人はその後にポジションを失う。それは味方からパスを引き出す能力、攻撃を組み立てる感覚、そしてゴール前に侵入するタイミング、ゴール前でシュートまで持ち込む勢いというあたりで力を発揮できなかったからだ。リンドシュトロームはしばらくしてまた出場機会を取り戻したが、ハウゲはメンバーからも外れることが多くなってしまった。

 そんななか、鎌田はこうした監督からの新しい要望を高い次元で実現している。それも自分の良さを一つも損なうことなく、だ。これが素晴らしい。

 選手にはそれぞれの特徴と長所、そして弱みがある。監督はそれを考慮したうえで、チームとしての基盤となる戦い方を実現するために、組み合わせを考える。自分の特徴や長所だけにこだわり、チームが求めるプレーをしない選手も困るのだが、チームが求めるプレーにばかり標準を合わせて自分の特徴や長所を出せなくなったら使い勝手が悪くなる。

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