【仙台】内容が勝利に直結しない現状をどう打破するか

2015年07月27日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

降格圏と勝点4差。「残留争い」の文字もチラつき始めた。

試合最終盤に強みであるセットプレーから失点。「ここを耐えていれば」と渡部が悔いたように、どこでどのようにギアを入れるのか、ゲームコントロールを学ぶ必要性に迫られている。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 第2ステージ3節を終えて、仙台は1分2敗で最下位に沈んでいた。それだけにホームで迎えた柏戦は、なんとしても勝点3が欲しい試合だったが、結果は0-1の敗戦。内容は決して悪くないものの思うように勝点を積み上げられず、年間順位も13位まで下がった。降格圏である16位新潟との勝点差が4に縮まっており、「残留争い」の文字もチラつき始めた。
 
「ブロックをしっかりと組んで、前半から柏のやりたいサッカーを上手く封じ込められていた。相手のやりたいことをやらせなかった」(渡部)という守備面は評価されるべきだろう。渡邉監督も「立ち上がりから我々の狙いどおり(の展開だった)」と話しており、押し込まれた時間帯もきっちりと対応して失点の匂いは感じなかった。
 
 ただ、攻め手に欠いたのは仙台も同じ。「ボール保持者に対してサポートポジションを取るのが、第1ステージの良かった時と比べて遅くなっている」(渡邉監督)ため、なかなか得点の気配が漂わなかった。それでも堅守で相手の長所を消す、まさに柏とは正反対の自分たちのやりたいサッカーをやれていた。
 
 だが、強みであるはずのセットプレーから、87分に決勝点を許してしまう。クリスティアーノに前に入られ、自信を持っている空中戦で後手に回って得点を許した渡部が振り返る。
 
「いつもと変わらずにプレーしようと思っていたが、(クリスティアーノの)入り方が上手かったというか、視野に入らない裏からやられてしまった。あれは防げた失点。甘さが出てしまったのかと思う」
 
 このシーンでは、それまでセットプレーのキッカーを務めていたクリスティアーノが中で待機していた。「死角を突かれた」と渡部は話すが、視野だけでなく"思考の死角"も利用された感が否めない。コーチングも、あのCKの瞬間にフッと途切れてしまったのか。映像で見返すと、クリスティアーノはクイックネスでもって渡部の前に入り込んだわけではない。まるで関与するつもりがないかのように悠然と闊歩して、渡部の前に入り、ジャンプして、ネットに突き刺した。
 
 これは集中力の欠如だったのだろうか。一瞬だけ生まれた隙を見逃さなかった柏の巧さだったのだろうか。公式記録を見返しただけでは、倍以上あったCKのチャンスを活かせなかった(11対5)ことくらいしか分からない。「ひとつ先に取れていれば」。渡邉監督は努めて冷静に語ったが、痛恨の想いだったことは想像に難くない。
 
「第1ステージもリスタートから直接、ドンッとやられたのがあったので『第2ステージはそれをゼロにしよう』とトレーニングしてきたが、今日の試合でまたやられた。この部分は反省材料として取り組んでいければと思う」(渡邉監督)
 
 今のサッカーをこのまま続けていくべきだとは思う。選手たちの口からも、「第2ステージ勝利なし」という結果に反して、演じるサッカーへの手応えが聞こえてくる。
 
だが、1分3敗と結果が出ていない以上、修正すべき箇所が多々あるのも事実だろう。攻撃面では前述したように選手同士の距離感、そして守備面ではサイドに追い込んだ後の次の一手だ。これは第1ステージ最終盤のパフォーマンスを取り戻すことが最短だろう。となると、すべてはゲームコントロールの拙さに帰結する気がしてならない。それらは、悠長に構えていてはならない修正点だ。
 
どんな形であれ、まずは勝利を手にすることが大切。たとえ、それが目指しているサッカーとはかけ離れたものであったとしても、だ。勝点を逃し続け、全身が沼に沈んでから焦ったのでは遅すぎる。傷口の浅い今だからこそ、現状を打破する方策が求められている。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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