強気のメンタル、単身渡仏、圧巻の日本一…青森山田・松木玖生はなぜ高校No.1と称される選手に成長できたのか?

2022年01月11日 松尾祐希

入学早々にレギュラーを獲得。大一番でも結果を残す1年生

決勝では圧巻のパフォーマンスを披露した松木。プロの舞台での活躍も楽しみだ。写真:徳原隆元

[高校選手権決勝]青森山田4-0大津/1月10日(月・祝)/国立競技場

 やっぱり、松木玖生は凄かった。

 正確なパス、強烈なシュート、強度の高い守備。そして、何より凄かったのが、仲間のために走り続ける姿勢だった。相手が嫌がるところに必ず顔を出し、2度追い、3度追いを厭わない。大津の森田大智(3年)、薬師田澪(3年)もこの年代屈指のダブルボランチコンビだが、彼らに付け入る隙を与えず、相方を務める宇野禅斗(3年)とのコンビでほぼ前進を許さなかった。「やれなかった悔しさしかない」。森田が完敗を認めるほど、圧巻のプレーでミドルゾーンを支配し続けた。

【高校サッカー選手権決勝PHOTO】大津0-4青森山田|圧倒的破壊力を見せつけ青森山田が優勝
 1年次から注目され、ピッチ内外で強烈な個性を示してきたことを考えれば、決勝でのプレーに驚きはない。改めて、松木が歩んできた道を振り返ると、絶対的な存在感は入学当初から持ち合わせていた。

「自分の武器はメンタル」

 本人の言葉通り、1年生とは思えないハートの強さとサッカーセンスで入学早々からレギュラーの座を掴んだ。中3からU-18高円宮杯プリンスリーグ東北やU-18高円宮杯プレミアリーグを経験しており、早い段階での活躍に驚きはなかったが、先輩たちにはっきり意見を言える1年生はそうそういない。また、大一番で結果を残せるのも松木の凄さ。高円宮杯U-18プレミアリーグEAST王者として挑んだファイナルでは、同WEST王者の名古屋グランパスU-18から決勝点を奪い、同年冬の選手権では1年生ながら4得点を記録。惜しくも決勝で敗れたが、準決勝の帝京長岡戦では勝負を決めるゴールを挙げて、"青森山田に松木あり"を示した。

 選手権での活躍もあり、その名が全国に知られるようになった松木。メディアに対しても、はっきりと自分の目標などを口にしてきた。故に"ビックマウス"と見られる向きもあったが、自ら発信することで自分にプレッシャーを掛けてきた部分もある。ただ、彼が凄かったのは、大きな目標を口にしても結果に繋げてきた点だ。

 2年次の選手権も準優勝に終わって悔しさを露わにしたが、個人として掲げた目標を必ず実行に移す。早くから海外志向を口にしていた松木は去年の2月に渡仏。リヨンU-19の練習に参加し、さらなる成長のために努力を惜しまない。そこで学んだゴール前に入っていくスプリントの大切さは即座に取り入れ、今季は今まで以上に圧倒的な推進力を発揮。ボランチとは思えない攻撃力を発揮できたのもそのためだ。

 そうした努力を重ね、夏のインターハイでは日本一を経験。自身も得点王に輝くなど、本当の意味でチームを勝たせる選手へと成長を遂げた。10月下旬はU-22日本代表に飛び級で選出され、U-23アジアカップ予選に出場。初戦でいきなり先制点を決めるなど、結果に拘って勝利に貢献するスタンスはどこに行っても変わらなかった。

 最後の冬もチームを力強く牽引。圧倒的な強さで日本一まで駆け上がった。

【動画】選手権決勝での松木玖生による3点目!

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