韓国代表のレジェンドが語るマラドーナへの“テコンドーサッカー”「同じことをやったらきっと全員退場だ」

2022年01月11日 サッカーダイジェストWeb編集部

相手をまったく恐れない肉弾戦

マラドーナを止めるため、当時の韓国代表はラフプレーもいとわなかった。(C)Getty Images

「今も同じことをやったら全員退場だろうね」

 かつて「テコンドーでもやっているのか」と揶揄された自国のスタイルについてそう語ったのは、韓国サッカー界のレジェンドであるチョ・ミングクだ。

 80年代後半から90年代初頭に、韓国屈指のタフガイとして活躍したチョ・ミングクは、CBからアタッカーまでこなすマルチロールとして、2度のワールドカップ出場(86年、90年)を果たした。

 引退後は、国内の強豪クラブを率いてタイトル獲得に導き、指導者としても結果を残した。そんな58歳のレジェンドが、1月6日付けの韓国紙『日曜新聞』のインタビューに登場。同国史上2度目の出場となった1986年のメキシコ・ワールドカップを振り返った。

 当時は、世界的に見れば弱小国だった韓国は、1次リーグでアルゼンチン、イタリア、ブルガリアと同居。とりわけ大会覇者となったアルゼンチンの「ナンバー10」との対戦は、チョ・ミングクにとっても印象深いものになっているようだ。

「あの大会は事実上、我々が初めて出場した本大会と言っていいのではないだろうか。それぐらい当時の韓国は未知の存在だったよ。そんな世界的な舞台で対戦したマラドーナにはとくに驚かされたよ。彼は試合前に『さ、ウォーミングアップだ』と言って、我々の目の前を通り過ぎていった。でも、実際に対峙してみると、彼の胴体やふくらはぎは僕らの2倍はあった。それでいて、あのスピードで駆け抜けるのだから、差は歴然だった。まるで熊と対戦しているようだった」
 
 ただ、当時の韓国代表が檜舞台で見せたのは、相手との接触をまったく恐れない肉弾戦。ラフプレーとは紙一重の荒々しいタックルの数々は、各国メディアに「テコンドーサッカー」と揶揄され、バッシングを受けた。

 そんなプレーを「VARもある今のサッカー界で、同じことをやったらきっと全員退場だ」と苦笑いを浮かべながら振り返ったチョ・ミングクは、こう続けた。

「とくにアルゼンチン戦は激しくいってしまっていたね。あの試合で私はスイーパーだったから、試合全体を後ろから見守ることができたから分かる。先輩たちのことは本当に尊敬しているが、あまりにも粗いプレーをしていたよ」

 そんなレジェンドは、ソン・フンミンやイ・ガンインといった国際的なタレントを擁する現代表について「環境的に我々の時代よりもずっと良くなっているし、体制は大きく改善されている。このままの良い雰囲気を保つべきだ」と指摘。そのうえで「後輩たちが次のワールドカップでも拍手や声援を受けられることを願うよ」と、来るカタール・ワールドカップに向けてエールを送った。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【動画】韓国のラフプレーを恐れず、世界を魅了したドリブル! マラドーナの華麗なるゴラッソシーン

次ページ【動画】韓国のラフプレーを恐れず、世界を魅了したドリブル! マラドーナの華麗なるゴラッソシーン

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事