【2015インターハイ】代表校レポート|新体制で挑む國學院久我山 “攻めて勝つ”スタイルを貫けるか

2015年07月22日 平野貴也

東京都大会では持ち前の攻撃力を発揮しきれず。

國學院久我山/所在地:東京都杉並区久我山1-9-1 創立:1944年 創部:1964年 総体最高成績:準優勝(2000年) 主なOB:丸山祐市、田邉草民(ともにFC東京)、松下純土(町田)

 東京が誇る技巧派集団は、アクセルを踏み直している最中だ。
 
 國學院久我山は今季から新体制となったが、どうにか東京都代表の座を射止めた。1995年に同校の外部コーチとして関わって以来、約20年にわたり指導して来た李済華監督が昨季終了をもって勇退(J3琉球のテクニカルダイレクターに就任)。今季から清水恭孝コーチが監督に昇格し、後を継いだ。
 
 新体制になっても、技術力を前面に押し出したチームスタイルは継承している。しかし、何事も最初は難しいものだ。インターハイ予選は、準決勝で東久留米総合との激戦をPK戦の末に制して全国大会の出場権を獲得したが、消耗戦の影響もあって決勝戦では関東一に0-1と惜敗。持ち味の攻撃力を発揮し切れなかった。
 
 指導者に求められる「内容と結果」について、清水新監督はこう答えた。
「今までも任せてもらっていた部分があったので、大きな変化はないだろうと思っていた。でも、実際に監督になってみるとプレッシャーも含めていろいろあるので、ホッとした部分はある。最初の大会で全国出場を果たせたことは良かった。
 
 ただ、今年は点が取れていない。久我山というチームは、攻撃的なサッカーを期待されているし、そこは絶対的に外してはいけない要素。そのなかで成果を少しずつ出していく。文武両道も含めて、久我山が目指すべき形は、立場がコーチでも監督でも変わらないし、続けなければいけない」
 
 久我山らしい攻撃的なサッカーに不足しているのは、ズバリ得点力だ。今季も後方から丁寧に、かつリズム良くパスを回して敵陣へボールを運ぶスタイル自体は、変わっていない。
 
 最終ラインからボールをピックアップするMF知久航介がゲームを作り、ダブルボランチを組む鈴木遥太郎が周囲をサポート。右は主将の宮原直央、左はキック精度の高い山本研が高い位置までせり出していく。複数のパスコースを作って相手にボールを奪わせず、なおかつ全体を押し上げることで攻撃に人数をかけ、相手の予測を上回るアタックを実現する。
 
 ところが、今年は最終局面に難がある。左から多嶋田雅司のカットイン、中央から名倉巧のスルーパス、FW安藤謙生の高速アタック、澁谷雅也の抜け出しなど武器はあるが、いずれも組み合うことなく単発になってしまう印象だ。
 
 宮原は「どうしても攻撃が中央に寄り過ぎる。ペナルティエリアまでは行けるけど、そこは相手も固めているし、そこでシュートを打ち切ることもできていない」とゆさぶり不足と、思いきりの欠如を指摘した。
 
 多嶋田も「攻撃が中心のチームだけど、点を取り切れない。途中まではテンポよくつなげる場面もあるけど、最後に詰まったり、迷ったりしてしまう」とシュート意識の低さを課題に挙げた。
 
 久我山らしい崩しにこだわるあまり、狙いがストレートに出てしまい、その本質を見せるための工夫を欠いているようだ。ドリブル突破やシュートで相手を引き出し、磨き抜かれたコンビネーションで切り裂いてこそ久我山だ。
 
 新体制で初めて臨む全国大会は、攻めて勝つ久我山のスタイルを再証明するための戦いとなる。
 
取材・文:平野貴也(フリーライター)
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