前橋育英ベスト8の立役者! 主将・桑子流空の“チーム愛”とサッカーへの情熱「この3年間は宝物」【選手権・準々決勝】

2022年01月05日 森田将義

国立へあと一歩及ばず…後輩たちへの熱い想いを告白

キャプテンとして最後までチームを支えた前橋育英の桑子が、前橋育英への愛を口にした。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

[高校選手権・準々決勝]大津1-0前橋育英/1月4日(火)/フクダ電子アリーナ

 小学生の頃から前橋育英に憧れてきた。中学では、これまでOBの多くが前橋育英に進んできた前橋FCでプレーするほど、主将を務めるDF桑子流空(3年)のチーム愛は強い。

 中学2年生のときには、選手権で初めて頂点に立つ瞬間を見届けようと埼玉スタジアムまで足を運んだ。

「全国大会で田部井涼さんたちが黄色と黒の縦じまを着て活躍し、優勝カップを掲げている姿は今でも忘れないし、自分もあの舞台に立って同じ想いをしたくて育英に入ってきた」

 大会前にそんな言葉を残していた通り、高校最後の年の目標は憧れの先輩たちと同じ、日本一だった。

 それだけに準々決勝の大津戦を0-1で終え、タイムアップの笛が鳴った瞬間のショックは大きかった。ピッチでうずくまり、なかなか起き上がれなかった。その理由について桑子はこう打ち明ける。

「最後、試合終了の笛で自分たちが夢見た高校3年間での日本一が閉ざされた。素直に一番悔しかった印象があります」
 
 試合後に、敵将である大津の山城朋大監督が「前橋育英さんの素晴らしいサッカーに敬意を表したい。粘り強く戦えたのは良かったけど、相手チームのほうが素晴らしいサッカーをしていたと思う」と述べた通り、試合内容では前橋育英のほうが勝っていた。

 シュート本数で見ても大津が4本に対し、前橋育英は9本。「引かれた相手のゴールをこじ開ける事ができなかった。最後の詰めの甘さが出た試合だと思います」と悔しさを噛みしめた桑子は、守備についてもこう続ける。

「失点した場面は自分と(柳生)将太のコミュニケーション不足。ひとつの隙を突かれて失点したのは守備の連係不足もある。ディフェンスリーダーとして自分がもっと締めなければいけない試合だった」

 大会の2週間前には、チーム初のプレミアリーグ昇格を決めている。後輩たちにひとつ置き土産を残す事ができたため、選手権ではもうひとつの置き土産を、という想いも抱いていた。

「後輩たちにはプレミアリーグ昇格を届ける事ができたけど、(徳永)涼、(根津) 元輝、(小池)直矢、(高足)善たちにも国立という舞台に立たせてあげたかったという想いがある。この舞台に立てなかった後輩たちも国立まで連れていって、"こういう舞台があるんだぞ"という贈り物をしたかった。それができなくて、不甲斐ない気持ちがいっぱいです」
 

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