[選手権１回戦]西武台０-１三重／12月29日（水）／NACK５スタジアム大宮

　放ったシュートは相手の３倍を超える16本を数えたが、ゴールネットは揺らせなかった。激戦区の埼玉を11年ぶりに勝ち抜き、全国の舞台に辿り着いた西武台が初戦で姿を消した。
 

　序盤はロングボールを駆使してゴールに迫った西武台が主導権を握るかに見えたが、開始９分に三重のカウンター攻撃が見事に決まった。左サイドを突破した北岡勇輝（３年）からのクロスを、右サイドから攻め上がったDF大地山開（３年）がヘディングシュート。これがネットを揺らし、三重が先制する。

　追う展開となった西武台はここから反撃し、MF丸山実紀（３年）、10番のFW市川遥人（３年）らを軸にポゼッションを高め、ゲームを支配。しかし、三重の粘り強い守備の前にゴールをこじ開けられない。１点ビハインドで迎えた後半もボールは保持するものの、決定機を迎える場面は少なく、終了間際の丸山のシュートもわずかにゴール左へ。西武台は０-１でタイムアップの笛を聞いた。

　守屋監督は、「攻める時間が長かった。それが逆に我々を苦しめた」と90分を振り返る。圧倒的にボールを支配できたものの、押し込んだ相手を崩し切る力強さに欠けた。

　また、50ｍ６秒１を誇る快足FWの細田優輝（３年）が病気で欠場。「（チームが）バランスを崩してしまった」（守屋監督）ことも大きく響いた。チームメイトの復帰を望んでいたキャプテンの原田蓮斗（３年）は、「今までたくさん助けられた。１試合でも多く勝って復帰できる可能性を広げよう」と誓って奮闘したが及ばなかった。

　原田は「今日のために３年間やってきたと言っても過言ではないくらい、この試合に懸けていた」と檜舞台への想いを吐露。それだけに「悔しいしか出てこない」と肩を落とす。

　それでもキャプテンは「ここまで来た景色を忘れてほしくない。俺たちを当たり前のように超えてほしい」と後輩たちに熱い想いを託し、大会を後にした。

取材・文●長沼敏行（サッカーダイジェスト編集部）