「正直、大半の選手が理解できていない」シャビが嘆いた“ポジショナルプレー”の喪失。なぜバルサは自らのサッカーを忘れたのか【現地発】

2021年12月27日 エル・パイス紙

10番の積み重ねるゴールと獲得するトロフィーが弱体化をカモフラージュしていた

シャビ就任後も劇的な改善が見られないのがいまのバルサだ。(C)Getty Images

 バルセロナが自らのフットボールを忘れた。

 2009年から2015年までバルサは世界の頂点に君臨していた。しかし2015年に最後にチャンピオンズ・リーグを制覇したのを境に、その独自のアイデンティティに裏打ちされたオートマチズムを徐々に失っていった。2015年はくしくもシャビが退団した年でもある。先日、エルチェ戦後に現在監督として再建に乗り出している彼が強い口調でその劣化ぶりを訴えた。

「わたしは6年間バルサを離れていたけど、戦術面において驚かされたことが少なくない。気になるのは、3人目の動き、フリーの選手の見つけ方や作り方、誰がどこにプレスにいくのかなどのイメージの共有の不足だ。バルサでは11歳からポジショナルプレーを習得する。でも試合中に十分に指導が行き届いていないのではないかというシーンに出くわす。

 正直言って大半の選手が理解できていない。誰の責任かは分からない。いま改善に取り組んでいるところだが、想像以上に苦労している。バルサは見失ってしまったモデルを取り度さなければならない。それが明るい未来へ繋がる道になるはずだ」

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 バルサは長年リオネル・メッシに依存してきた。10番の積み重ねるゴールと獲得するトロフィーが、チームの弱体化をカモフラージュしていた。しかし、その太陽のようにチームを照り付けていたエースがパリSGに移籍。残された選手たちは図らずも"天候不順ぶり"を晒すことになったのだ。

「僕は(ジョゼップ)グアルディオラとルイス・エンリケの下で長い時間プレーする幸運に恵まれた。間隔を置かずに彼らから指導を受けたことでフットボールへの理解が深まり、戦術の知識を増やすことができた」

 メッシは、あるインタビューでグアルディオラとルイス・エンリケにこう感謝の言葉を贈ったが、これは決して偶然ではない。

 バルサはレアル・マドリーとは異なり、いつの時代もチーム作りにおいて監督が重要なウェイトを占めてきた。それを極論してバルサのフットボールはヨハン・クライフとグアルディオラの作品と指摘するアナリストもいるほどだ。

 もちろん前出のルイス・エンリケに加え、フランク・ライカールト、エルネスト・バルベルデ、さらにスポーツ・ディレクターのチキ・ベギリスタインやアンドニ・スビサレッタらバルサスタイルの発展に貢献した人物は他にもいる。

 しかし、グアルディオラからバトンを引き継いだティト・ビラノバとヘラルド・マルティーノは"ペップ・バルサ"が残していったレガシーを引きずったような政権だったし、2015年にスビサレッタが解任され、ドリームチームの色が完全に消された。

 その後、ルイス・エンリケの下でメッシ、ルイス・スアレス、ネイマールが形成するトリデンテの得点力を前面に押し出して一時持ち直したが、バルベルデ、キケ・セティエン、ロナルド・クーマンと監督が交代するたびにその威力は失われていった。

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