J1残留争いの経験が大学生活最後の糧に…筑波大・山原怜音、「全力で走り切った」4年間を経て清水へ

2021年12月17日 安藤隆人

「サッカー王国清水が誇るクラブですし、なんとしても残留したいと思っていた」

大学卒業後は清水へ加入することが内定している山原。写真:安藤隆人

 インカレ準々決勝・筑波大vs駒澤大の一戦。12月14日、強い風雨の中で行なわれた一戦は、開始早々の6分に関東1部得点王の駒澤大FW土信田悠生が先制点を挙げると、その1点を守り切って駒澤大が準決勝進出を果たした。

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 敗戦が決まった瞬間、筑波大のDF山原怜音はその場に蹲って涙を流した。

「3年前に同じベスト8で駒澤大に負けていて、それを知っているのは僕ら4年生だけ。同じ相手で同じ状況だったからこそ、勝ちたかった。でも立ち上がり失点をして、駒澤大の勢いがずっと落ちないし、なんとかこじ開けたかったけど、相手陣地にいく時間はあってもゴールを脅かすようなプレーができなかった」

 山原は来季、清水エスパルス入りが決まっている。特別指定選手として8月29日のJ1・27節の名古屋グランパス戦でベンチ入り、翌28節のサガン鳥栖戦で初スタメンをフル出場で飾ると、11月は1か月もの間、清水に合流。J1残留をかけたサバイバルで4試合に途中出場を果たすなど、プロの一員として濃い時間を過ごした。

「まだ正式に加入する前にこんな経験ができるとは全く思わなかった。J1の残留争いも初めてで、合流して1、2週間で監督が交代する経験も初めて。緊張感ある毎日というか、しびれる毎日を過ごさせてもらいました。エスパルスはJ2にいるべきチームじゃない、サッカー王国清水が誇るクラブですし、なんとしても残留したいと思っていたので、(残留が)決まった時はほっとしました。でも、この1か月の経験は自分のためじゃなく、インカレに挑む筑波大に貢献するためのものだとも思っていました」

 清水での経験を筑波大に還元する。大きな自覚を持った山原はチームの先頭に立ってチームを牽引した。

「プロのプレー基準を周りには求めたし、エスパルスでは逆境からチームがひとつになって残留という目標に突き進んでいけたからこそ、結果を掴むことができた。それは筑波大でも一緒で、試合に出る、出ない関係なくチームが1つになることが大事だと思っていた」

 インカレ前には「トップチーム30人だけではなく部員全員がそれぞれの立場はあるけど、それぞれの角度からインカレで勝つためにどうすべきか考えよう」とチーム全員に話をした。
 

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