マジョルカ番記者が見た久保建英の復活弾と、親友イ・ガンインとの“関係”。「2人の才能は突出している。だが…」【現地発】

2021年12月10日 エレナ・ガルシア

90分間プレーするにはリスクが伴う

久保とイ・ガンイン(右)をどう共存させるのかが、今後のマジョルカのポイントとなる。(C)Getty Images

 マジョルカがアトレティコ・マドリーのホームに乗り込んだ一戦、74分から出場のタケ・クボ(久保建英)が劇的勝利の立役者となった。67分にアトレティコに先制を許した後、フランコ・ルッソのゴールで同点に持ち込んだ後半アディショナルタイムだった。

 アンヘル・ロドリゲスのスルーパスに抜け出したタケは、そのままドリブルで持ち込むと、名手ヤン・オブラクの股を抜き、1-2の鮮やかな逆転劇を完遂させた。
【動画】名手オブラクの牙城を破る!久保建英が決めた独走からの劇的股抜き弾

 ゴールが決まった瞬間、タケは喜びを爆発。コーナーフラッグの方へ向かって走り、膝立ちで滑り込んだ。そこに真っ先に飛びついてきたのが、スタメンで出場し好調ぶりを披露した後、85分にベンチに下がっていたイ・ガンインで、落胆するアトレティコの選手と明暗がくっきり分かれた瞬間だった。

 試合後、ロッカールーム近くの通路で、タケとイ・ガンインが談笑する姿がカメラにキャッチされた。自陣から40メートル以上を全力で駆け抜け、相手の選手が身体を寄せてシュートを阻止しようとしてくるという難しい状況下での冷徹なフィニッシュワークが光った一撃だったが、この日のヒーローは親友に「マジでビビったよ。一人、センターバックがすぐそこまで来ていると思っていたから。外したら殺されてたよ」とその瞬間の胸中を吐露した。

 もちろんイ・ガンインだけではない。他のチームメイト、ルイス・ガルシア監督、さらにこの日、数か月ぶりにスタジアムで試合を観戦したアンディ・コールバーグ会長からもタケは手厚い祝福を受けた。

【動画】「マジでビビったよ」久保がイ・ガンインに思わず本音をこぼす貴重なシーン 

 タケにとってこの試合は、右膝の半月板を負傷による2か月以上の戦線離脱を経て、前節のヘタフェ戦で22分出場した後の復帰2戦目だった。もちろんまだ実践感覚が不足し、90分間プレーするにはリスクが伴うが、そんな中でのゴールはトップフォームを取り戻すための何よりの良薬になるはずだ。

 金曜日にマジョルカはホームにセルタを迎える。タケはスタメンが有力視されるが、注目ポイントは、イ・ガンインとの共演だろう。タケの戦線離脱中に継続してスタメンで起用され、攻撃を引っ張っていたが、両者はプレースタイルが重なる部分がある。

「タケとイ・ガンインがプレーする時は、いくつかのことを調整しておかなければならない。2人が揃ってピッチに立てば、チームにとって大きな力になるのは間違いない。ただいずれも足下にパスを欲しがるタイプだ。裏を返せば、スペースへの動きが少なくなるという側面がある。実戦を通じて我々はその課題に取り組んでいかなければならない」

 ルイス・ガルシア監督も2人の同時起用について、こう慎重な姿勢を示しているが、2人の才能はやはり突出している。タケとイ・ガンインの共存の成否が後半戦のマジョルカの命運を握っていると言っても過言ではない。

文●エレナ・ガルシア(ディアリオ・デ・マジョルカ紙マジョルカ番)
翻訳●下村正幸

【画像】久保の腹筋に韓国メディアも注目!イ・ガンインが投稿した"浴室2ショット"

次ページ【関連動画】「マジでビビったよ」久保がイ・ガンインに思わず本音をこぼす貴重なシーン(1分40秒~)

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事