【なでしこリーグ】  「ブームではなく、文化に」――カナダの地でともに戦った宮間、川澄らが再開初戦で激突

2015年07月13日 松原 渓

美作にはホーム最多の4998人が集まる。

熱い想いを持ってリーグ再開初戦に臨んだ宮間(10)。そのプレーで観客を沸かせた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 カナダ・女子ワールドカップでの準優勝の余韻が醒めやらぬ週末の7月12日、なでしこリーグが再開し、各地で5試合が行なわれた。
 
 なかでも注目を集めたのは、なでしこジャパンのキャプテン宮間あやとGK福元美穂が所属する湯郷ベルと、なでしこジャパンへ最多7選手(MF澤穂希、FW大野忍、DF近賀ゆかり、MF川澄奈穂美、DF鮫島彩、DF田中明日菜、GK海堀あゆみ)を送り込んだINACの一戦だ。
 
 前売り券は通常のリーグ戦の約4倍売れたといい、30度を超える蒸し暑い天候のなか、湯郷ベルのホームゲームでは史上最多となる4998人が、美作ラグビー・サッカー場に集まった。
 
 「ブームではなく、文化にしていきたい」
 
 宮間はワールドカップ決勝前日の記者会見で、女子サッカーの将来について大勢のメディアの前で訴えた。まずはリーグ戦を観に来てほしいと――。
 
 魅力的な試合をし、観客を満足させ、初めて観に来たファンの足を再びスタジアムに向かわせたい。なでしこリーグ再開初戦は、そんな宮間の大きな願いが込められながら、キックオフの笛を迎えた。
 
 試合はショートパスを中心にボールを支配しながら攻撃のチャンスを窺うINACに対し、湯郷ベルは宮間の精度の高いキックを武器に、カウンターから惜しい場面を作った。
 
 30分、右サイドを駆け上がった川澄のシュートがバーを叩いてゴールライン上でバウンドしたが、ノーゴールの判定。しかし、ダイナミックな一連のプレーに会場が沸いた。
 
 試合が動いたのは44分。大野のアシストからFW髙瀬愛実が決めてINACが先制。さらに、77分にはFW増矢理花がDFの緩いバックパスを奪うとそのままドリブルで持ち込んで決め、リードを2点に広げた。
 
 しかし、湯郷ベルは81分、右サイドからのクロスをFW高橋千帆がヘディングで決めて1点を返す。さらに、その3分後には前線からのプレスがはまり、最後は宮間がボールを奪い、GK海掘との1対1を冷静に制した。
 
 試合はその後、押せ押せムードの湯郷ベルに対し、INACも粘り強く反撃し、そのまま2-2で終了した。

次ページ他では味わえない“手作り感”は、なでしこリーグの魅力。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事