【新潟】ショッキングな敗戦に見えた大きな光明。J1残留は、決して難しいミッションではない

2015年07月12日 五十嵐創(サッカーダイジェスト)

クラブ初の5連勝を達成した、一昨季の姿を見ているようだった。

局面での厳しい寄せが戻ったのは、守備のやり方が整理されたため。「新潟らしい戦い方につながった」と指宿も手応えを感じていた。(C)JLEAGUE.PHOTOS

 鹿島をホームに迎えた第2ステージの開幕戦で、新潟は2-3で逆転負けを喫した。しかも、最後の2失点は、いずれもアディショナルタイム(90+4分と90+6分)だ。

 目前で勝利を逃した選手たちのショックは相当なもので、豪快なミドルでチームの1点目を決めた指宿も「結果が出なかったので悔しさしかない」と憮然とした表情を浮かべていた。
 
 ただ、結論から言えば、この敗戦で気落ちする必要はないと感じている。もちろん、最後に2失点したのは大きな課題だが、90分間を通しての内容は圧倒的に新潟のほうが良かった。とりわけ、約2週間の中断期間で修正した守備は、今後に希望を抱かせるものだった。
 
 システムを従来の4-4-2に戻した新潟の守備には、まったく迷いがなかった。特筆すべきは、局面での寄せだ。
 
「(第1ステージでは)前から行くのか行かないのか、いまいち定まっていなかったので、中途半端になっていた。今日は基本的に前から行くようにしていたので、それが結果として新潟らしいサッカーにつながった」(指宿)
 
 誰がプレッシャーに行くのか整理されていなかった第1ステージとは打って変わり、鹿島の選手がボールを持つと、近くの選手がすぐさま厳しくチェックする。また、そのファーストディフェンスに対する周囲の連動性も高く、ほとんどの局面で新潟が数的優位に立っていたのである。
 
 連動したプレスが機能した最大の要因は、距離感の改善に見出せる。「守備でも攻撃でも距離感については、この2週間で言われてきた部分」と加藤が明かすように、柳下監督はトレーニングで徹底的に個々のポジショニングを修正した。

 その結果、「前線から最終ラインまで共通意識を持ってできている」(加藤)というチームとしての連動性が生まれたのだ。
 
 良い守備は良い攻撃にも結びつくもので、高い位置でのボール奪取から、素早く攻守を切り替えてカウンターで何度もチャンスを作っている。小泉が挙げたチームの2点目は、その最たるもの。ボランチが迷いなくゴール前へと進出する姿は、クラブ史上初の5連勝を挙げた一昨季終盤の姿を見ているようだった。

次ページアグレッシブな守備を支えた2ボランチの秀逸な働き。

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