引退セレモニーで阿部勇樹の感情が最も昂った瞬間…涙ながらに盟友7人に伝えた感謝

2021年11月27日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

個人名を挙げた7人は、ともにタイトルを獲得してきた歴戦の友

契約満了となった宇賀神(左)、槙野(右)とともに撮影。阿部は彼ら盟友に感謝を述べた。(C)SOCCER DIGEST

 J1第37節の浦和レッズ対清水エスパルス戦後、埼玉スタジアムは暖かい拍手に包まれ、ホームのゴール裏には数多くのメッセージが掲示された。

『浦和を愛し浦和に愛され続ける男 ありがとう阿部勇樹』

『全身全霊戦い続けた男 22ありがとう』

『ひたむきに取組み結果で示したキャプテン 俺たちの誇り 阿部勇樹』

 ピッチに現れた阿部勇樹は、四方に丁寧にお辞儀をすると、そうした雰囲気を噛み締めながら言葉を紡いでいった。

「みなさん今日はこんなに大勢の方に来ていただいて、しかも寒いなか待っていただいてありがとうございます。

 今月の14日に引退会見をさせていただきました。ですが、みなさんには直接お伝えできていないので、今日お伝えさせてください。

 私、阿部勇樹は今シーズンをもって引退します。長きにわたって応援してくださったファン・サポーターのみなさん、パートナー企業のみなさま、ホームタウン、後援会、スチューワードなど浦和レッズに関わる全ての方に感謝します。ありがとうございます」
 
 そう感謝を述べた阿部の感情が最も昂ぶったように見えたのが、これまでともに戦っていた選手の名前を挙げた瞬間だった。

「今年、リカルド(・ロドリゲス)監督はじめコーチングスタッフのみなさん、メディカルスタッフのみなさん、マネージャーチームのみなさん、そして一緒に戦ってきた選手のみなさん、本当にありがとうございます。

 その中でも、西川周作、宇賀神友弥、槙野智章、シーズン途中に移籍してしまいましたが武藤雄樹、柏木陽介、関根貴大、そして興梠慎三。本当に、あなたたちがいなかったら、ここまでできなかったです。ともに戦ってくれて本当にありがとう。感謝しています」

 浦和に加入したのは、2007年1月。イングランドのレスターに在籍した10年8月から12年1月までを除けば、実に13年半にわたって赤いユニホームに身を通してきた。

 個人名を挙げた選手とは、その間、ともにいくつものタイトルを獲得してきた。まさに歴戦の友である。

 そうした盟友たちとともにスタジアムを回って、ファン・サポーターに挨拶をする最後の瞬間は、阿部にとって特別な時間になったに違いない。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
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