浦和、「3カ年計画」最終章へ。涙にくれた一週間の真意。世代交代の一言では片付けられない“変革”

2021年11月25日 牧野真治

このドラスティックさこそ、浦和レッズの本気

今季はユンカー(7番)や江坂(33番)を獲得。集大成となる1年に向け、今冬の動きにも注目が集まる。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 これほど「男の涙」が繰り返された1週間があっただろうか――。それも魂を込めて戦うピッチ上ではなく、記者会見の席で。

 今季限りでスパイクを脱ぐ阿部勇樹、今季限りで契約満了となり、退団が決まった槙野智章、宇賀神友弥。そしてクラブが下した「苦渋の決断」の一端を担ったリカルド・ロドリゲス監督。11月14日から21日に至るまで涙の会見の連続に心をかき乱された赤きサポーターは少なくなかったはずだ。だがこのドラスティックさこそ、浦和レッズの本気。来季に懸ける覚悟と責任が見えてくる。

 2022年は浦和にとって、ただの1年ではない。「3カ年計画」の3年目。ビッグクラブの宿命として絶対的な結果が求められる。19年12月、浦和はフロントの強化体制の一新と共に新たな指針を打ち立てた。

 それが「20年は変革元年、21年がコンセプトの表現、22年がリーグ制覇」という3カ年計画。以来、西野努テクニカルダイレクターは常に22年の布陣を念頭に動いてきた。年間を通じ、積極的な補強を見せた今季も一貫して「3年で結果を出す、そこは変えない」と話しており、集大成の1年となる。

 大胆な選手の入れ替えに伴い、補強ポイントも見えてくる。まず槙野、宇賀神、さらにトーマス・デンという計算できる実力者が抜けるセンターバック、サイドバックの補完。前線もキャスパー・ユンカー、興梠慎三に加え、ボールが収まる強烈なアタッカーは加えたいところだ。
 
 今季は支配率に比べると得点力が今ひとつ。水面下では決定力あるウイングの獲得の動きも見える。さらにボランチも補強ポイントか。柴戸海、伊藤敦樹、平野佑一ら一定の選手層を持つポジションだが、比較的、同タイプで守備に力強い選手が多い。

 ロドリゲス監督が「例えば徳島の岩尾憲のようなチームのブレーンになるようなタイプ」と話すのは平野のみ。来季は安居海斗(流通経大)も加入するが、リーグ制覇を見据えれば、パスを供給し、得点も取れるボランチも重要になりそうだ。
 

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