20位・相模原。“崖っぷち”の状況を高木監督はどう捉えるか。「槍が刺さっても落ちない。それぐらいの覚悟で」

2021年11月21日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「3試合すべてが100パーセントの戦いになる」

結果に一喜一憂せず、目の前の試合に専心する高木監督。「3試合のチャレンジがある」と気合いを入れる。写真:田中研治

「崖っぷちですよ。崖の上に立って、相手に槍を突きつけられている状況ですよね、簡単に言うと。一歩でも後ろに下がれば、落ちてしまう」

 SC相模原の高木琢也監督は、チームが置かれている現状をそう話す。全42試合ある日程で、39試合を終え、成績は7勝13分19敗で勝点は34。J3に降格するのは22チーム中で下位4チーム。相模原は、下から数えて3番目の20位。残り3試合の時点で、残留圏の18位・ツエーゲン金沢とは勝点3差。ギリギリの戦いが続いている。

 シーズンが終盤に差し掛かれば、スタンディングの力関係は明確になる。「昇格を争うチーム、残留を争うチーム、何もないチーム。この3つしかない」と区分する高木監督は、次のように続ける。

「一番良いのは昇格争い。2番目にくるのが"何もない"なんでしょうけど、でもそこに絡むチームは、モチベーションを含めて難しい部分もある」

 もっと言えば、「何もないのが、一番面白くない」。残留争いを歓迎しているわけではないが、何かを懸けて戦えている現実をポジティブに受け止めている。

 あと3試合しかないのか、まだ3試合もあるのか――高木監督の答えは、「3試合もできる」だ。

「残留争いで、3試合のチャレンジがあると思っています。"まだ"とか"もう"ということよりも、3試合すべてが100パーセントの戦いになる。そういう感じですね」

 そのうえで、なにがなんでも残留を勝ち取りたい。それが選手のさらなる成長につながるからだ。

「すごく良い経験になっていると思いますし、それを無駄にしてほしくないし、だからこそ、なおさら勝ちたい。勝つことで、経験値がさらにプラスになる。ここでの経験が、最高の経験に変わっていく」
 
 一方、チームを束ねる指揮官としては相当な重圧がかかるはず。「太りましたね、プレッシャー太り(笑)」とうそぶく。心境は「意外と普通ですよ」と明かす。

「カウントダウンされていくなかで、自分でも気にはしていました。残り少なくなっていって、条件が悪くなったりして、自分の感情はどう変わっていくのか、と。でも、あんまり変わらないですね。ゲームになれば、良い意味でも、悪い意味でも、多少の緊張感はありますけど」

 シーズン途中の就任からここまで、一定のテンションを保ちながら、チームを指揮している。結果に一喜一憂せず、目の前の試合に専心する。

「試合までに、今までよりもいろいろと準備をしているので、それに追われて、あっという間にここまできたという感覚です」

 チームの雰囲気にも手応えを感じている。11月21日に行なわれる40節・愛媛戦に向けた、ある日の練習後には「今日なんてめちゃくちゃ良かった。多少、いつもと違うことをやりましたけど、よく整理されていました」と目を細める。

「崖っぷちでは、自ら落ちることもできる。チームの崩壊とか、まとまりがなくなるとか、いろんな意味であきらめてしまって、自分から落ちる」

 少なくとも、今の相模原は"自死"するようなチームではない。「相手の槍が刺さっても落ちない。それぐらいの覚悟で」と、高木監督は強い決意を示した。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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