鮮烈デビュー!オマーン戦の“三笘アワー”に潜む収穫と課題。西野ジャパンと同じ部分がアキレス腱か…

2021年11月18日 清水英斗

課題が残るのは、守備面だろう

ファーストプレーから鮮烈なA代表デビュー戦となった三笘。(C)REUTERS/AFLO

 収穫はもちろん、三笘薫の鮮烈デビューだ。

 前回のベトナム戦は日本が前半の早い時間帯にゴールを挙げたため、三笘の出番は訪れず、彼をオマーン戦の隠し球として潜ませることができた。

 ハーフタイムに代えるなんて、森保一監督にしては随分早い采配だ。また、後半はマイボールのキックオフというのも好都合だった。日本はおそらく示し合わせた通りに、ファーストプレーで左サイドへボールを回し、三笘がズバッと切り裂いた。1人を抜き、最後にファウルで止めた14番アムジャド・アルハルティが起き上がりざま、「オイオイ…」と言わんばかりの呆然とした顔を見せたのが印象的だ。

 その後の45分間は、オマーンが三笘対策で選手の配置を変えたり、日本が三笘の生かし方を工夫したりと、三笘アワーだった。

 彼の突破を生かす要点は、第一にサイドを変える際のパススピードを上げること。第二に、相手サイドバックやサイドハーフの足を留め、三笘へのプレスを軽減すること。二つ目のポイントは、特に田中碧がよく分かっていた。ハーフスペースに立って飛び出しを匂わせ、相手サイドバックの三笘への出足を鈍らせる。

 時間帯が進むと、流れの中で高い位置を取った遠藤航も同じことをやり、中山雄太が投入されると、一層うまく三笘を生かすようになった。もっとワンツーやコンビネーションを加えなければ、警戒する相手を崩すことはできないが、初陣としては良かったと思う。
 
 そうした鮮烈的な後半の一方で、のらりくらりとした前半のポゼッションも、退屈ではあるが、勝つためのゲーム戦略としては悪くなかった。

 課題が残るのは、守備面だろう。0-0の省エネ戦となった前半、日本はプレスがはまらず、効果的なカウンターに行けなかった。相手アンカーのマークが曖昧で、そこを起点にプレスを外されている。本来なら大迫勇也がアンカーを抑え、伊東純也と南野拓実が相手センターバックに外切りプレスに行くのが、この4-3-3では常套なのだろうが、タイミングが合う場面は少なく、後半途中から4-2-3-1に修正した。

 守備面も大迫のコンディションに左右される部分が大きいのではと思う。それでも、選手の状態に合わせて起用を変えられないのは辛い。西野ジャパンと同じところが、森保ジャパンでもアキレス腱になりそうな気がして、モヤが晴れない。

文●清水英斗(サッカーライター)

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