「シャビの招聘は唯一かつ最善の選択だった」――バルサ番記者が明かす、ファンを歓喜させた新指揮官の“言葉” 【現地発】

2021年11月16日 エル・パイス紙

いまバルサが必要としているのは単なる監督ではない

6年ぶりに古巣のバルサに復帰したシャビ。(C)Getty Images

 果たしてシャビが今現在のバルセロナに必要な監督であるかどうかは分からない。カタールでの100試合程度に限定される経験不足を弱体化が止まらない。そんな数々の困難に直面するバルサ指摘する者もいないわけではない。しかしながら、全体的な印象としてはシャビの招聘が唯一かつ最善の選択であったという空気感が周囲を取り巻いているように感じる。

 いまバルサが必要としているのは単なる監督ではない。ファンがそっぽを向き始め、経営が破綻の危機に瀕し、リオネル・メッシの退団に象徴されるようにチームは、信じる力をもたらすことができるカリスマ的なリーダーを求めていた。

 そう、「クラブを超えた存在」をスローガンに掲げるバルサは、「監督を超えた人物」を必要としていたのだ。その意味では、シャビほどそのプロフィールに合致した人物は見当たらない。その帰還を歓迎するためにプレゼンテーションイベントに1万人のファンが集まったことでもそれは明らかだ。

 シャビは足下でボールを扱うように、マイクの前でスピーチする。記者会見でも、周囲の期待が注がれる中、落ち着いた口調で短く正確に一つ一つの質問に答えていた。

 シャビは、方向感覚に優れ、穏やかな語り口の中にも意思の強さを感じさせる。秩序、規範、要求水準の高さ、インテンシティといったものを植え付けてくれそうだが、かといって罵声や怒号をあげるタイプでもない。
 

 追求しているのは、あくまで良いプレーをすること。ヨハン・クライフやジョゼップ・グアルディオラの継承者としての自覚を持ち、使命感に燃えている。ラ・リーガで中位に低迷し、チャンピンズ・リーグでも決勝トーナメント進出を賭けたベンフィカとの決戦を控えるという厳しい状況下での就任にもかかわらず、被害者意識とも無縁だ。

 記者会見ではバルサについて世界最高のクラブと明言すると同時に、最も難しいクラブと付け加えることを忘れなかった。ファンの期待を裏切ることができないことは誰よりも分かっている。シーズンが始まって以来、「これが現実」という言葉がピッチ内外で呪文のように繰り返し唱え続けられてきた風潮に刃向かうように、「(バルサは)才能のある選手が揃ったチーム」とはっきり言い切った。

 シャビならピッチ上でそうだったように、ベンチからも試合を支配してくる。バルセロニスモはその自信みなぎる姿に歓喜し、熱い期待を寄せている。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙バルセロナ番)
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

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