【女子W杯】なでしこ攻守のキーマン、宮間と岩清水が語る「連覇」への4つのポイント

2015年07月05日 西森彰

アメリカのフォアチェックを外して体力を削り、先制点を挙げたい。

日本、アメリカともに4-4-2の布陣となることが予想される。アメリカの前線からのハイプレッシャーをいかにかいくぐれるかがポイントになる。

 カナダ女子ワールドカップは、日本時間の7月6日午前8時にいよいよ決勝のキックオフを迎える。大会2連覇を目指す日本は、2011年の前回ワールドカップ、12年のロンドン五輪に続き、3大会連続で宿敵のアメリカと顔を合わせることになった。
 
 今大会わずか1失点と堅守を誇り、パワフルな攻撃を見せてきたアメリカに対し、日本はどんな戦いを挑むのか。「なでしこジャパン」の攻守のリーダーである宮間あやと岩清水梓の言葉から、勝利へのカギを探る。
 
【PHOTOアーカイブ】 「なでしこvsアメリカ」激闘の記憶――ワールドカップ、オリンピック etc.

【女子W杯PHOTOギャラリー】なでしこジャパン「激闘の軌跡」
 
ポイント1)じっくりと構えるのか、立ち上がりから出るのか
 
 今大会のなでしこジャパンは、相手の足を潰してから、確実に敵を仕留めにかかる「大人のサッカー」が目立つ。6試合も1点差ゲームが続いているが、すべての試合で先制していることもあり、安定感は抜群。敗戦の可能性が僅かながらでも感じられたのは、一度同点に持ち込まれた準決勝のイングランド戦ぐらいだ。
 
 では、決勝戦も最終ラインで確実にボールを回しながらアメリカのプレスをいなし、その矛先を鈍らせてから止めを刺すというプランでいいのか。キャプテンの宮間はアメリカに対して、これまで戦ってきた相手とは異なる感覚を抱いている。
 
「アメリカを相手に(そうしたダメージを蓄積させる)これまでの戦い方が通用するかと言えば、それは違うと思います。アメリカはもう少し高い位置からプレスをかけてきます」(宮間)
 
 ディフェンスリーダーの岩清水も「1トップの相手、オランダ戦、オーストラリア戦でうまくできましたが、イングランド戦はGKまで追いかけられて、少し嫌な場面がありましたし、アメリカは2トップでくるかもしれない。少し個別に作戦を練る必要があります」とイングランド戦の戦いを、そのまま踏襲するつもりはない。
 
 果敢にアプローチを掛けてくるアメリカのフォアチェックを外せれば、それだけ相手のガソリンを削り取れる。それはすなわち、勝利にも近づくということだ。しかし、最強の敵を相手にそれだけでは足りないと宮間は言うのだ。
 
 
ポイント2)先制点で相手のメンタル面に一撃を加えたい。
 
 宮間は勝利のカギを握るポイントとして、先制点を挙げた。
 
「(相手のプレスを外してスタミナを削る)それもありますが、アメリカの選手は豊富な体力以上に、強い精神力を持っている。彼女たちの心をへこませるには、得点を奪うしかないと思います」
 
 実は今大会、日本は初戦から準決勝までの6試合すべてで、アメリカもスコアレスドローに終わったグループリーグのスウェーデン戦を除く5試合で、先手を取り続けてきた。逆転勝ちが少ない今大会の傾向(グループリーグ36試合中3試合、ノックアウトラウンド準決勝までの13試合中1試合。フランスにPK勝ちしたドイツの試合は除く)からいっても、先制点の意味合いが際立っている。
 
「あくまで、試合展開に焦れないことが前提になりますが、早い時間帯に先制点をとること。アメリカを相手に先制したことはあまりないので、それができるかどうかだと思います」(宮間)
 
 データ上で圧倒的な優位が示されている先制点をもぎ取ることで、アメリカの選手たちのメンタル面に打撃を加えられるかは、重要なポイントになるだろう。

次ページサイドへの揺さぶり、SBの攻撃参加でリズムを掴みたい。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事