【コパ・アメリカ】W杯、CL、コパの全てで決勝に進出! 偉大さと進化を浮き彫りにする「メッシの長いシーズン」はA代表初タイトルで報われるのか!?

2015年07月03日 熊崎敬

この1年間のメッシはサッカー史上でもっとも働いた選手?

チリと対戦するコパ・アメリカ決勝は、メッシにとってこの1年間で実に74試合目。「長いシーズン」は、彼の偉大さを浮き彫りにする。 (C) REUTERS/AFLO

 6月11日に開幕したコパ・アメリカ2015も、3位決定戦(7月3日)と決勝(4日)を残すのみとなった。
 
 ヨーロッパでプレーしている選手にとっては、7月4日の決勝をもって長いシーズンが終了するが、特筆すべきはリオネル・メッシの働きぶりである。
 
 1年前のブラジル・ワールドカップからカウントして、コパの決勝に予定通り出場したと仮定すると、1年間で74試合に出場したことになるのだ。
 
 この74試合の内訳は次の通り。
 
《バルセロナ》
リーガ:38試合出場(全38試合)
国王杯:6試合出場(全9試合)
チャンピオンズ・リーグ:13試合出場(全13試合)
 
《アルゼンチン代表》
ワールドカップ:7試合出場(全7試合)
コパ・アメリカ:6試合出場(全6試合)
国際親善試合:4試合出場(全8試合)
 
 2014年6月から15年7月にかけてのメッシは、もしかするとサッカー史上もっとも働いた選手かもしれない。
 
 まず、リーガ・エスパニョーラで全試合に出場した。ベンチスタートで後半45分しかプレーしなかった、アウェーのレアル・ソシエダ戦を除くとフルタイム出場。3375分という出場時間はGKを含めるとリーガで2位、フィールドプレイヤーでは堂々1位の長さとなる。
 
 国王杯では、弱小チームとの対戦となった序盤の3試合は欠場したが、残る6試合にはフルタイム出場。またチャンピオンズ・リーグ、ワールドカップ、コパでは決勝までの全試合に出場。勝てば勝つほど試合数は増え、オフは減るため、最終的に74試合まで伸びた。同じ時期のクリスチアーノ・ロナウドが63試合出場ということからも、メッシの働き者ぶりが実感できる。
 
 メッシが偉大なのは、単に試合数だけではない。世界最高峰のハイレベルな大会で、つねに敵に厳しく警戒されるなか、怪我をほとんどせず、チームを勝たせているところだ。
 
 サッカー界のスーパースターというと、バルセロナの先輩にもあたるディエゴ・マラドーナやロナウジーニョがそうだったように、豪快に羽目を外して遊ぶことが当然のように思われてもいる。
 
 スーパースターはピッチ上でもピッチ外でも、尋常ではないプレッシャーにさらされる。だから、ときには私生活で憂さ晴らしをするのも仕方ないという考えだ。これには一理ある。
 
 だが派手に遊んでいたロナウジーニョはピークが短く、無軌道な私生活が取り沙汰されたマラドーナは、キャリアは長かったものの、長く勝ち続けることはできなかった。
 
 このふたりに比べ、メッシは大怪我もなく、つねに年間60試合前後プレーしている。そして勝ち続けている。ピッチ外で問題を起こすことは滅多にない。これはメッシ自身と所属するバルセロナの管理が、しっかり行き届いているということだ。

次ページ鉄砲玉だった若手時代から、周囲を巧みに操る老獪なベテランへ。

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