【喜熨斗勝史の欧州戦記|第7回】すべてが想像を超えたアヤックスの練習。日本との大きな違いは「リスクの取り方」

2021年10月28日 サッカーダイジェスト編集部

セルビア代表コーチ就任後、初めて各国周遊へ

アヤックスの練習を見学した喜熨斗コーチ。日本との違いについて語ってくれた。

 セルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督を右腕として支える日本人コーチがいる。"ピクシー"と名古屋でも共闘し、2010年のリーグ優勝に貢献した喜熨斗勝史だ。

 そんな喜熨斗氏がヨーロッパのトップレベルで感じたすべてを明かす連載「喜熨斗勝史の欧州戦記」。第7回は、アヤックスなどの練習見学で感じたことについて語ってもらった。
 
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 いかにして『高さギリギリのリスク』を取れるか。10月のワールドカップ欧州予選、そしてアヤックスやラツィオの練習や試合など欧州各国を周遊するなかで改めて感じたことです。
 
 10月9日に敵地ルクセンブルク戦、同12日に本拠地アゼルバイジャン戦。2連勝を収めたことで、試合がひとつ多いながらもポルトガルと勝点1差のA組首位となり、まずはプレーオフ進出以上を確定させました。そして11月14日の最終節は大一番、ワールドカップ本大会出場権を掛けてポルトガルとの直接対決に臨みます。
 
 欧州予選に簡単な試合はひとつもありません。この2試合、ひとつでも引き分けたりしていれば最終戦は消化試合になっていました。重圧はあったのですが、ルクセンブルクにはドゥシャン・ヴラホヴィッチ(フィオレンティーナ)の一発で勝利。続くアゼルバイジャン戦は、実はポルトガル戦を見据えた戦いに踏み切りました。ミスター(ドラガン・ストイコビッチ監督)と相談しながら警告を1枚持っている主力6選手をあえてスタメンから外す大胆策です。前半は1-1で折り返しましたが、後半に2点を追加して突き放して底力や選手層の厚さを見せられました。
 
 そして来たる決戦へ向けて、私は10月シリーズが終わったあとの20日からセルビア代表コーチ就任後初めて各国周遊へと飛び立ちました。訪問先はブレーメン(ドイツ)、アヤックス(オランダ)、ラツィオ(イタリア)の3クラブ。そこにはタディッチやセルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチら我々の代表選手が在籍しており、またミスターもセルビア協会も「行ってこい」と快く送り出してくれました。

 ライセンスの問題で私の肩書きは『フィットネスコーチ』なのですが、実際は『アシスタントコーチ』として名刺をもらい、視察申請しているので、各クラブのスタッフさんたちと情報交換ができ、練習見学をさせてもらう機会にも恵まれました。

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