豪州戦でようやく最適解に辿り着いたという印象だ
オーストラリア戦に勝利し、ゴール裏のサポーターへ挨拶をする日本代表。今後の展開やいかに。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)
10月のカタール・ワールドカップ・アジア最終予選で日本代表は1勝1敗という結果となった。通算2勝2敗でグループBの4位につける。果たして、日本代表をつぶさに追うライター陣は今回の2連戦をどう評価するのか。また、オーストラリア戦前に取り沙汰された森保監督の進退問題をどう考えるのか。今回は、スポーツライターの加部究氏に見解を伺った。
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Q1 10月シリーズの日本代表は百点満点で何点?
A 65点
そもそもサウジアラビア戦の戦略を履き違えた。グループBでは、オーストラリアを合わせた3か国を本命サイドだと考えれば、当面のライバルとなるサウジアラビアとのアウェー戦は勝つこと以上に負けないことが大切だった。リスクマネージメントを優先した上でボランチ2枚の布陣で臨むなら、遠藤航のパートナーは守備の強度も備えた田中碧か守田英正が妥当だった。確かに柴崎岳には後方から局面を一変させるパス(視野)もあるが、むしろ後方に保険を賭けてフィニッシュに絡ませた方が真価を発揮する。結局守備の局面で二度の重要なミスを看過し、あまりに交代を先延ばしにしたツケがサウジアラビアの決勝ゴールに繋がった。
一方勝利するしか後がなくなったオーストラリア戦は、ようやく緊急事態に直面し、重い腰を上げて最適解に辿り着いたという印象だ。新しく着手した4-3-3ではMF3人が互いにポジションを変えても機能し、心臓部分が上手く回転することでチーム全体の推進力を生み出した。結局大一番を左右するのは序盤からの主導権争いなので、前線から飛ばしまくった時間帯に先制出来たこともあり、日本は波に乗れた。ただし消耗覚悟の猛ダッシュだっただけに、フレッシュな力への転換のサイクルは、さらに早めていく必要がある。
当面のライバル2か国と連戦して勝点3は、最低限のノルマを達成したに過ぎない。森保監督は、東京五輪にオーバーエイジ3枠をフル活用し、自らの理想の布陣で臨んでいる。それは金メダル獲得という目標達成のために、本来五輪世代の選手たちが積むべき経験を犠牲にする決断だった。また大舞台を目指してじっくりとチーム作りを進めてきたのは、ワールドカップへと繋げていく目的もあったはずだ。ところが肝心の最終予選が始まると、過去の検証作業が再開した。
遅すぎた改編という感は否めない。だがそれでも変革の機会を掴んだことは、一定の評価をしておくべきかもしれない。
A 65点
そもそもサウジアラビア戦の戦略を履き違えた。グループBでは、オーストラリアを合わせた3か国を本命サイドだと考えれば、当面のライバルとなるサウジアラビアとのアウェー戦は勝つこと以上に負けないことが大切だった。リスクマネージメントを優先した上でボランチ2枚の布陣で臨むなら、遠藤航のパートナーは守備の強度も備えた田中碧か守田英正が妥当だった。確かに柴崎岳には後方から局面を一変させるパス(視野)もあるが、むしろ後方に保険を賭けてフィニッシュに絡ませた方が真価を発揮する。結局守備の局面で二度の重要なミスを看過し、あまりに交代を先延ばしにしたツケがサウジアラビアの決勝ゴールに繋がった。
一方勝利するしか後がなくなったオーストラリア戦は、ようやく緊急事態に直面し、重い腰を上げて最適解に辿り着いたという印象だ。新しく着手した4-3-3ではMF3人が互いにポジションを変えても機能し、心臓部分が上手く回転することでチーム全体の推進力を生み出した。結局大一番を左右するのは序盤からの主導権争いなので、前線から飛ばしまくった時間帯に先制出来たこともあり、日本は波に乗れた。ただし消耗覚悟の猛ダッシュだっただけに、フレッシュな力への転換のサイクルは、さらに早めていく必要がある。
当面のライバル2か国と連戦して勝点3は、最低限のノルマを達成したに過ぎない。森保監督は、東京五輪にオーバーエイジ3枠をフル活用し、自らの理想の布陣で臨んでいる。それは金メダル獲得という目標達成のために、本来五輪世代の選手たちが積むべき経験を犠牲にする決断だった。また大舞台を目指してじっくりとチーム作りを進めてきたのは、ワールドカップへと繋げていく目的もあったはずだ。ところが肝心の最終予選が始まると、過去の検証作業が再開した。
遅すぎた改編という感は否めない。だがそれでも変革の機会を掴んだことは、一定の評価をしておくべきかもしれない。