戦術との相性は抜群、2列目左サイドで先発の可能性は90%――武藤嘉紀にとってマインツは理想に近い新天地

2015年06月29日 遠藤孝輔

問われるのはパーソナリティや環境適応力。

いよいよドイツへと旅立つ武藤。戦術とのマッチングという点で、マインツは理想的な移籍先と言えそうだ。 (C) SOCCER DIGEST

 攻守の両局面における選手全員のハードワークが光り、リアクション型のサッカーを志向しているマインツの十八番は、ボールポゼッションで相手を揺さぶる遅攻ではなく、ボールを奪ってから素早く縦に攻め込むショートカウンターだ。

【写真】武藤嘉紀 国内ラストマッチ

 守→攻の切り替えが素早いうえ、初速もトップスピードも群を抜いている「カウンターの申し子」武藤嘉紀が、攻撃の新たなキーマンとなる可能性は小さくない。
 
 高確率で起用されそうなポジションは、4-2-3-1の2列目左サイド。怪我さえなければ不動のレギュラーだったヨナス・ホフマンがレンタル期間終了に伴う退団が濃厚で、その穴埋め役として期待されている。
 
 定位置争いのライバルとなりうる元ドイツU-21代表のクリスティアン・クレメンスを足下のテクニックや得点力で、韓国代表のク・ジャチョルをスピードや局面打開力で凌駕するだけに、武藤にとってレギュラーの座を掴み取るのはそう難しくないだろう。
 
 戦術的にも技術的にもこれといった不安が見当たらない以上、問われるのはパーソナリティや環境適応力となる。
 
 その意味で、同胞の岡崎慎司が結果を残した意義は小さくない。周囲から「日本人に何ができる?」と懐疑的な目を向けられる心配がないからだ。チェルシーのようなビッグクラブ特有の重圧がない点も、明るい展望が描ける要因のひとつだ。
 
 伸び伸びとプレーできる環境が整っているマインツは、理想に近い移籍先と言えるだろう。
 
文:遠藤孝輔
 
(サッカーダイジェスト5.28号より一部修正)
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