【コパ・アメリカ現地レポート】オーラもなく、つまらないブラジル……PK戦で準々決勝敗退

2015年06月28日 熊崎敬

昨夏の「1-7」の後遺症がいまだ残る“かつての”大国…。

15分に右サイドからのクロスをロビーニョが難なく合わせてゴール。幸先良く先制したブラジルだったが、良かったのはこれだけだった。 (C) Getty Images

【コパ・アメリカ2015】
準々決勝
●ブラジル 1-1(3PK4) ○パラグアイ
[得点者]ブ=ロビーニョ(15分) パ=ゴンサレス(72分PK)
【PK戦】
ブラジル(先攻)|パラグアイ(先攻)
【1】フェルナンジーニョ:○|マルティネス○
【2】E・リベイロ:●|V・カセレス:○
【3】ミランダ:○|ボバディージャ:○
【4】D・コスタ:●|サンタクルス:●
【5】コウチーニョ:○|ゴンサレス:○
 
 ブラジルが準々決勝で敗退した。
 
 15分にロビーニョのゴールで先制したものの、72分にT・シウバのハンドでPKを献上。これをゴンサレスに決められ、1-1に追いつかれた。
 
 勝負はPK戦決着となり、ブラジルは2人目のE・リベイロ、4人目のD・コスタが失敗。3-4で敗れ去った。
 
 ウルグアイ、アルゼンチンに次ぐ8度の優勝を誇るブラジルの敗退は、番狂わせと報じられるかもしれない。
 
 だが、これは順当な結末だ。ロビーニョのゴールの他にはほとんどチャンスを創れず、後半はパラグアイに押し込まれた。様子見を決め込んでいたチリ人たちが後半、パラグアイを応援したのも当然だった。今のブラジルはつまらないのだ。
 
 ブラジルはまだ、7失点で惨敗したワールドカップの後遺症を引きずっている。
 
 ワールドカップでは、コロンビア戦で頼みの綱のネイマールが傷つき、エースを欠いて戦う羽目になったドイツ戦で悪夢を見た。
 
 今回も、これと似た結末となった。グループリーグのコロンビア戦でネイマールが退場。続くベネズエラ戦は苦しみながらも勝利を収めたが、アルゼンチンと死闘を演じた不屈のパラグアイには勝てなかった。
 
 ネイマールのいないブラジルは、主役のいない演劇のようだ。誰も状況を打開できない。これにはドゥンガ監督も含まれる。PKを外した2選手は、途中出場の選手だった。
 
 それにしてもストライカーの宝庫だったブラジルは、いったいどこに消えたのだろう。
 
 ワールドカップでは、ネイマールが消えた途端、フレッジでは何もできなくなり、今回もフィルミノ、D・コスタ、D・タルデッリはほとんど役に立たず。苦しい時に、チームを救う戦力にはなりえなかった。
 
 残念ながら、今のブラジルにオーラはない。
 
 かつては多くの国が、ブラジルと戦えるだけで喜んだものだ。だが「1-7」を境に、多くの国が「俺たちでも勝てるかも」という思いでブラジルと対戦するようになった。
 
 誰もが憧れる特別な存在だったブラジルは、もはや数多くある強豪国のひとつに成り下がってしまった。
 
現地取材・文:熊崎 敬
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