「早くもタケがチームの中心だ」久保建英のパフォーマンス をマジョルカ番記者が“MVP級”と絶賛した理由「理想のパートナーを見出した」【現地発】

2021年08月31日 エレナ・ガルシア

マジョルカのほぼすべての攻撃は“17番”を経由していた

右サイドに入り、持ち味を存分に発揮した久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 タケ・クボ(久保建英)が試合ごとに存在感を増している。第3節のエスパニョール戦で86分間プレー。とりわけ威力を発揮したのがフェル・ニーニョとのホットラインだ。

 エスパニョールはマジョルカにとって因縁の相手だ。監督は2シーズン前までマジョルカを指揮していたビセンテ・モレーノ。昨シーズンは最終節まで2部の優勝争いを繰り広げた。

 ルイス・ガルシア・プラサ監督は、この重要な試合に向けていくつかの修正を施した。その一つがタケのポジション変更だ。前節のアラベス戦で起用したトップ下ではなく、右サイドに配置した。

 しかしタケはサイドに張りっぱなしになるのではなく、頻繁に中央に絞ってボールに絡み、MVP級のパフォーマンスを披露。マジョルカのほぼすべての攻撃は"17番"を経由していた。不思議なことに26分のダニ・ロドリゲスの得点には関与しなかったが、積極的にボールを要求し、相手を引きつけてスペースを創出し、味方に的確なパスを供給した。

 特に目を引いたのが、ゴールへの強い意欲だ。くしくも前節の試合後、ルイス・ガルシア監督が指摘した課題で、果敢に1対1を挑み、ゴールを狙った。あるいは攻撃が手詰まりになれば、ポジションを下げてパスの受け手となって打開を試みた。

【動画】マジョルカ番記者が絶賛!躍動した久保建英のプレーをチェック!
 
 この日、そんなタケの前線のパートナーに名乗りを上げたのがフェル・ニーニョだ。昨シーズン、ビジャレアルでチームメイトだった2人は強力なホットラインを形成し、相手の守備陣をズタズタに切り裂いた。

 お互い20歳でフィーリングも合っている様子で、ニーニョがマークを引き付ければ、タケがその空いたスペースを活用し、ダイアゴナルランを駆使して裏に抜ければ、タイミングを見計らってスルーパスを繰り出した。試合全体を通してニーニョは右サイドに流れる機会が多かったが、これは決して偶然ではない。

 また特筆に値するのは、 戦況に応じて自分たちで判断してプレーできる点だ。1点リードの展開で、無理に攻め込まずにボールキープにも注力した後半のプレーはそんな成熟度の表われだった。2人、3人、4人と複数の相手選手に囲まれても、軽快にパスを交換し、この20歳ホットラインは今後マジョルカの大きな武器になるとともに、ラ・リーガの新たな呼び物になる可能性を秘めている。

 タケの話を続ければ、前回在籍時と比べても精神的な成熟ぶりは目覚ましく、終始、自覚を持って攻撃を牽引。復帰後初ゴールはお預けとなったが、積極的にミドルシュートを放つなど、惜しいシーンもあった。

 その特別な才能を発揮するための理想のパートナーも見出した。次戦以降もこの調子を続けていけば、ゴールが生まれるのは時間の問題だろう。86分に交代でピッチを去る際、ソン・モイスの観客から大きな拍手が送られた。タケは早くもチームの中心選手になっている。

文●エレナ・ガルシア(ディアリオ・デ・マジョルカ紙マジョルカ番)
翻訳●下村正幸

次ページ【動画】マジョルカ番記者が絶賛!躍動した久保建英のプレーをチェック!

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事