【コパ・アメリカ現地レポート】「クラシコ」の激闘 アルゼンチンが宿敵ウルグアイとの肉弾戦を制し、ベスト8へ前進

2015年06月17日 熊崎敬

身体ごと飛び込んだアグエロがニアを鮮やかに撃ち抜く。

「クラシコ」らしい肉弾戦を制したのはアルゼンチン。ダイビングヘッドで決着をつけたのは、アグエロだった。 (C) Getty Images

【コパ・アメリカ2015】
グループB
○アルゼンチン 1-0 ●ウルグアイ
[得点者]アグエロ(56分)
 
 アルゼンチンが宿敵ウルグアイを1-0で退け、パラグアイと並んでグループB首位に立った。3試合目の相手はジャマイカ。2試合ともに0-1と大健闘しているが、アルゼンチンが勝点を落とすことは考えにくい。ベスト8進出は確実となった。
 
 唯一のゴールは56分、アグエロのダイビングヘッドから生まれた。
 
 右サイドから敵陣に攻め寄せたアルゼンチンは、メッシ、パストーレ、サバレタと細かくつなぐ。パストーレが敵を引きつけながら軽やかにターンし、サバレタにスペースと時間を創る。
 
 このファインプレーに、サバレタは鋭く正確なクロスで応えた。次の瞬間、敵を引きずるようにして身体ごと飛び込んだアグエロが、ニアの狭いコースを鮮やかに撃ち抜く。
 
 それにしても、これぞクラシコという激戦だった。
 
 序盤から肉弾戦が延々と繰り広げられ、特に攻め込まれたウルグアイはまったくパスをつながず、ボールを蹴飛ばしてばかりいた。もちろん、容赦なく膝や肘も繰り出す。アルゼンチンも負けじと応戦したため、笛が吹かれるたびに額を突き合わせての口汚い罵り合いが繰り返された。
 
 サンティアゴで出会ったウルグアイ人が、こんなふうに話していた。
「アルゼンチンとの試合は、いつだって戦争になるんだ。相手にマラドーナやメッシがいても、ややこしいゲームになるんだよ」
 
 そう、どれだけ実力差があっても、ウルグアイは泥仕合に持ち込む自信があるのだ。
 
 アグエロのゴールが決まったとき、私はアルゼンチンの勝利は動かないと思った。なぜなら、敵の足とボールを荒々しく蹴飛ばすウルグアイが、パスをつないでゴールを決めることは想像できなかったからだ。
 
 ところが、勝負はあっさりと終わらなかった。いままでの百年間がそうだったように、試合は最後までもつれたのだ。汚いプレーばかりしていたウルグアイが懸命にパスをつなぎ、何度もアルゼンチン・ゴールを脅かす。
 
 75分には相手GKが弾いたところにロランが詰める。目の前にはゴールが口を開けていたが、左足シュートは無残にもバーを越えた。しぶといウルグアイは終了間際にもペレイラの突破から、途中出場のエルナンデスが決定的な一撃を放つ。だが、これはGKロメロの鋭い反応に阻まれる。
 
 軍配はアルゼンチンに上がったが、展開はウルグアイ人が言った通りになった。試合後、アルゼンチンの選手たちは身体中が青あざだらけになっていたはずだ。
 
 勝ったアルゼンチンはベスト8に前進し、敗れたウルグアイはパラグアイとの3戦目に勝ち抜きを賭けることになった。
 
 アルゼンチンが順当にグループ1位となっても、しぶといウルグアイがパラグアイを破って2位に滑り込めば、両者がふたたび準決勝で顔を合わせる可能性がある。アルゼンチンにしてみれば、もう二度とウルグアイの顔は見たくないだろう。
 
取材・文:熊崎敬
 
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