「悔しさしかない。でも…」帰ってきた静岡学園・守備の要、伊東進之輔が感じた青森山田の凄さ【総体準決勝】

2021年08月21日 安藤隆人

「打倒・青森山田の気持ちでやっていきたい」

年代別日本代表にも選出される期待の技巧派CB伊東。写真:安藤隆人

[インターハイ準決勝]静岡学園0-4青森山田/8月21日(土)/日東シンコースタジアム丸岡サッカー場

 守備の要がついに戻ってきた。インターハイ準決勝・青森山田対静岡学園の一戦で、静岡学園の189cm、長身CB伊東進之輔(3年)が今大会初出場を果たした。

 伊東は大会直前に左足首を捻挫、ベンチ入りこそしていたがこれまでの4試合の出番はなかった。だが、青森山田との準決勝を前にして、川口修監督から起用を伝えられた。

「これまで試合に出たかったし、悔しかったのですが、正直コンディション的にはまだまだ万全ではありませんでした。でも、監督から信じて使ってもらったし、仲間も認めてくれて、絶対にゼロで抑えようと思った」

 だが、伊東の思い虚しくチームは4失点。試合を決定づけてしまった39分のMF松木玖生(3年)の直接FKは、彼が松木を倒して与えてしまったものだった。

「奪いに行けると思ったのですが、(松木に)先にボールに触られてしまったので引っ掛けてしまった」と唇を噛んだが、同時に相手の強さも素直に認めて、これからの自分の力にしようとしていた。

「青森山田はゴール前に入り込んでくる質、それに合わせるクロス、キックの質が全然他と違った。本当に『うまいな』と思いました。CBとしてゴール前に入り込んでくる人数の多さで判断を迷ってしまったりしました。他にも攻守の切り替えの速さが凄かった。

 自分たちも切り替えの部分は強調してやっているのですが、自分たちの思っている以上に切り替えやプレスの速さがあった。全体的に見ても普段は出ないようなミスが自分たちに出た。今まで青森山田以外では通用してきた部分があったのですが、青森山田に勝つにはこれではダメ。逆にこれからは青森山田に勝つためにやれば、他のチームには絶対に負けないし、必ず再戦のチャンスを掴める。全てにおいてレベルアップしたいです」
 
 伊東には大きなポテンシャルがある。魅力的なサイズを生かしたヘッドもそうだが、ビルドアップ能力にも長け、縦に運んで攻撃の起点にもなれるスケールを持つ選手。だからこそ、川口修監督も「まだ本調子ではなかったのですし、いきなりのぶっつけ本番で正直70分間持つかどうかというのもあったのですが、それ以上に彼に経験を積ませたかった。『復帰明けで青森山田が相手できついかもしれないが、失敗してもいいし、足つってもいいから行ってこい』と送り出しました」と語ったように、怪我も癒えた状態まで待って、この重要な一戦での起用を決断した。

「悔しさしかない。でも、これで僕らには明確な基準ができた。最後にこんな悔しい思いで終わりたくないので、最後はみんなで笑って終われるように努力をして、打倒・青森山田の気持ちでやっていきたいです」(伊東)

 それだけにここで得た大きな経験を財産にして、伊東は冬にスケールアップした姿を見せることを誓って福井の地を後にした。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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