【総体2回戦】シード校の尚志がまさかの初戦敗退――。超高校級CBチェイス・アンリが絞り出した反省の弁

2021年08月16日 松尾祐希

「フィジカルが違いすぎた」相手エースも舌を巻く圧巻のプレー

「もっと強くなって選手権の優勝を目指す」と新たな目標を見据えたチェイス・アンリ。写真:松尾祐希

[インターハイ2回戦]日章学園0(5PK3)0尚志/8月16日(月)/日東シンコースタジアム丸岡人工芝グラウンド南コート

 あまりにも早い終戦――。PK戦で敗れた直後、尚志のDFチェイス・アンリ(3年)は取材エリアで「情けない」、「悔しい」という言葉を何度も発した。

 シード校として挑んだ2回戦・日章学園との一戦は、決して負けゲームではなかった。一進一退の攻防が続いたが、ゴール前ではほとんど良い形でシュートを打たせていない。チェイス・アンリ自身も持ち前のフィジカル能力と空中戦の強さを活かして存在感を発揮。マッチアップした日章学園のエース・FW木脇蓮苑(3年)も「フィジカルが違いすぎた」と舌を巻くほどのプレーで、最終ラインを支えた。しかし、この日は攻撃陣が不発。3度あったGKとの1対1を逃し、ゴールに見放された。

 FW陣が決め切れない。であれば、チェイス・アンリをターゲットとするセットプレーからゴールを奪いたかったが、CKはわずかに2回。チェイス・アンリを前線に上げるプランも試合中のアクシデントで実行できなかった。CB安江海ラウル(3年)が足の痙攣で途中交代を余儀なくされ、代わって入った唯一の控えCB入澤新大(3年)も最終盤に2枚目のイエローカードを受けて退場したからだ。

「足りないところがチーム全体であった」(仲村浩二監督)。その言葉を噛み締めるようにチェイス・アンリは自分の不甲斐なさを受け入れ、「もっとリーダーとしてチームを引っ張っていかないといけない」と反省の弁を述べた。
 
 チェイス・アンリ自身、コンディションは悪くなかった。下級生の頃は怪我に泣かされていたが、今季はほとんど離脱せずに継続して試合に出場。早生まれのため、資格を持っているU-17日本代表ではなく、飛び級でU-18、U-20の代表活動にも参加した。また、6月上旬にインターハイ出場が決まると、7月に渡欧。菅原勢由が所属するオランダリーグ1部・AZのU-23チームとブンデスリーガ1部・ボルシアMGのU-19チームで練習に参加した。その中でチェイス・アンリは、U-23の選手とプレーしたAZで手応えを掴んだという。

「自分のプレーが通用した部分はあった。U-23の練習だったけど、全然やれるなという実感があったんです。身体能力は負けていなかったし、ロングフィードも通用したと思う。あとはゲームスピードに慣れれば、いける感覚があった」

 自信を深めて迎えたインターハイの本大会は初戦で敗退。「負けるのが早過ぎる。自分が情けない。こんなに注目されていたのに…」とうなだれたが、下を向いている暇はない。本人の意識もすでに冬の選手権に向いている。

「(夏に味わった悔しさは)選手権で返すしかない。もっと強くなって選手権の優勝を目指す」

 Jクラブと欧州から注目される超高校級CBの戦いはまだ終わっていない。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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