「プレースタイルが激変」「良い手本が間近に」元日本代表ふたりが説く、興梠慎三の“開花”の転機

2021年08月18日 サッカーダイジェスト編集部

「プロ1、2年目の頃はスピードだけで勝負していた印象だけど」(名良橋)

昨季まで9年連続二桁得点。今季は1得点にとどまっているものの、その実力に疑いの余地はない。(C)SOCCER DIGEST

 昨季まで9年連続二桁ゴールと類稀な決定力が光る興梠慎三は「天才」と呼べるのか? そんな疑問について、元日本代表で現解説者の2人──名良橋晃氏、岩本輝雄氏がひとつの回答を示す。

岩本 センス抜群。今のJリーグでトップのフォワードだと思っている。ナラ(名良橋)は興梠と鹿島時代に一緒にやっているよね?

名良橋 一緒にプレーしたのは2シーズン。彼が加入1、2年目(2005~06年)の時で、その頃はスピードが持ち味のサイドアタッカーだった。それが(07年に監督就任した)オズワルドの下でフォワードになって、才能が花開いた。そこからオールマイティなアタッカーに進化を遂げたことを考えると、"出会い"が大きかったなと。

岩本 裏への抜け出し、シュートの精度はもちろん、ボールの引き出し方が素晴らしい。最終ラインからつないでいる局面でセンターフォワードは結構隠れがちだけど、興梠は良いタイミングでスッと中盤に降りてきて良い角度でボールを受ける。そこからダイレクトで落とす技術やタメの作り方も含め、やっぱり"トップ"。フォワードはゴールだけじゃなく、キープもできないと。彼を見習ってほしい。

名良橋 プロ1、2年目の頃はスピードだけで勝負していた印象だけど、フォワードになって味方を使うようになってからプレースタイルが激変した。実戦経験を積みながら相手との駆け引きも覚えるなどして洗練されていった感じ。努力に努力を重ねて天才の領域に足を踏み入れたのが慎三です。

岩本 ただ、動き出しだけならヤナギ(柳沢敦/元・鹿島)のほうが上だった。密集地帯で自分のスペースを作る技術は、歴代のJリーガーでもナンバー1でしょ。
 
名良橋 動き出しは本当に絶妙。

岩本 速いしね。

名良橋 ヤナギのそういうプレーを見て、慎三は大きく成長できたんだと思う。

岩本 良い手本が間近にいれば、そりゃあ、上手くなるよ。

取材・文●白鳥和洋(本誌編集長)・多田哲平(本誌編集部)

※サッカーダイジェスト6月24日号に掲載されたものを加筆・修正して転載。

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