【中断明けの青写真|秋田】“秋田らしさ”を貫くのみ!2季ぶりに復帰のMF藤山、負傷明けの千田&江口が助けに

2021年08月05日 竹内松裕

秋田がやることは変わらない

吉田監督が掲げる「反省と検証を繰り返す」ことで未だ連敗のない秋田。後半戦も勝点を伸ばせるか。写真:滝川敏之

 東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J2昇格1年目を戦うブラウブリッツ秋田を取り上げる。

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 23試合を終えて7勝8分8敗で勝点29、22得点・23失点で12位。これが今季J2に初挑戦する秋田のここまでの成績だ。

 2020年に就任した吉田謙監督は、選手たちの体幹を鍛えることでフィジカルと走力の向上を図り、奪ったボールを前線に運ぶ縦に速いサッカーを展開。開幕から28戦無敗という圧倒的な成績でJ3を制すると、そのサッカーを「徹底と継続」(吉田監督)してJ2に挑み、成果を出している。

 秋田の縦に速いサッカーとは、端的に言えば素早く攻守を切り替える「堅守速攻」だ。ただそれだけでは秋田の強みを表現し切れないので、詳しく触れていきたい。なぜなら中断期間の前後にかかわらず、秋田がやることは変わらないからだ。
 
 秋田の強みとして最初に挙げるのはシンプルなロングボール。DFやMFは相手の最終ラインの背後、特に右サイドのコーナーフラッグに向けていち早くロングボールを送り、スピードとフィジカルに優れる2トップが競り合う。そのセカンドボールをサイドハーフやボランチが回収し、サイドからクロスを送る。このときリスクを負ってゴール前に人数を掛けて決め切るのがひとつの形だ。もうひとつはCKやロングスローなどのセットプレー。高さと強さのあるCBがターゲットとなりゴールを狙う。

 相手がボールを保持する場面では、前線が積極的にプレッシャーをかけてチーム全体が連動し、粘り強くスライドしてパスの出し手と受け手を制限してボールをサイドに追い込み、球際の競り合いに持ち込んでボールを奪ってカウンターを狙う。そこを突破された場合は、ゴールを守るために中央を固めてはね返す。

 だが、こうした秋田の強みを様々なやり方で上回ってくるのもJ2だった。第5節までは3勝1分1敗と白星が先行するが、それ以降は勝ち星から遠ざかる。

 そのなかには秋田が決定的な場面でゴールを奪えないことも挙げられるが、相手がペナルティエリア手前からすばらしいミドルシュートを決めたり、セットプレーの守備のスキを突いてゴールを奪われる試合もあった。特に相手の決定力はJ3にはなかったもので、秋田の多くの選手たちからカテゴリーの違いを実感する声が聞かれた。
 

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