敗戦に呆然と座り込んだ久保建英にそっと駆け寄り…2人のスペイン代表が見せた気遣い【東京五輪】

2021年08月03日 サッカーダイジェスト編集部

しばらく立ち上がることができず

試合後、ベンチの前に座り込み、呆然とした表情を浮かべた久保。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

[東京五輪 準決勝]U-24日本0-1U-24スペイン/8月3日/埼玉スタジアム2002

 7番は呆然と宙を見上げた。

 初めての決勝進出を目指し、優勝候補筆頭のスペインに挑んだU-24日本代表は、延長後半の115分にマルコ・アセンシオにゴラッソを叩き込まれ、0-1で敗れた。

 バルセロナの下部組織で育ち、いまもラ・リーガでプレーするに久保建英にとって、スペインは言わば第2の母国。「150パーセントの力を出す」と試合に臨み、随所に持ち前のテクニックを披露したが、後半はやや疲れが見え、決定的な役割を果たすことができなかった。

 延長戦の前にベンチに下がったエースは、不完全燃焼だったのだろう。試合終了のホイッスルが鳴ると、ベンチの前で座り込み、しばらく立ち上がることができなかった。
 
 そこに、スペイン代表の2選手がそっと駆け寄り、久保に声を掛けた。CBと左SBでそれぞれ先発したパウ・トーレスとマルク・ククレジャだ。前者はビジャレアル、後者はヘタフェで昨シーズンに同じ釜の飯を食った仲だ。

 残念ながら、ビジャレアルでもヘタフェでも久保は出場機会に恵まれず、思うような結果を残せなかった。ただ、ビジャレアルのDFアルフォンス・ペトラザも、ヘタフェのFWハイメ・マタも口を揃えて、「タケは試合に出られなくても、練習熱心で黙々とやっている」と明かしていた。

 グループステージの3戦連発は、その努力の賜物だ。だが、決勝トーナメントの2試合で、自分が無得点に終わったのはもちろん、チームにもゴールをもたらせなかったのが悔しかったのだろう。

 声を掛けられた後も、久保はしばらく立ち上がることができなかった。それでも、劇的勝利にスペイン陣営が沸くなか、元同僚が見せた気遣いには、感謝していることだろう。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)

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