【中断明けの青写真|大分】残留に向けて生まれ変わりを図る! 攻撃時の良い流れを生む新戦力が周囲に好影響

2021年08月03日 柚野真也

戦力的な見劣りや怪我人の多さも低迷の要因に…

2月に獲得したエンリケ(写真左)ら外国籍選手も存在感を示し始めている。写真:滝川敏之

 東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J1の大分トリニータを取り上げる。

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 片野坂体制6年目は大苦戦を強いられている。ここまで4勝しかできず、降格圏内を抜け出せずにいる。今季は、昨季までの攻守の主力が抜けた一方、長沢駿や下田北斗らJ1で実績のある選手に加え、開幕直前にはCBとボランチに外国籍選手を補強。ひと桁順位を目標に掲げた。

 しかし、エンリケ・トレヴィザン、ペライラの両助っ人は新型コロナウイルスの影響で来日が大幅に遅れ、チームに合流したのは4月中旬。期待された新助っ人のコンディションが整う前に序盤で7連敗を喫し、「この結果は想定外」(片野坂知宏監督)と目標を「残留」に下方修正した。

 だが、戦力的な見劣りはもちろん、長谷川雄志や小林裕紀、坂圭祐、下田など、主力クラスが繰り返し離脱。厳しい台所事情のなかでは、指揮官のシステム変更や戦術を守備重視に転換するという策も奏功しなかった。
 
 この事態を重く受け止め、クラブはまず、夏季ウインドウが開く前にFW呉屋大翔を獲得。さらに、おとなしいチームに喝を入れ、攻撃の推進力をもたらす梅崎司が14年ぶりに復帰したのは明るい話題だ。経験豊富なベテランとなった梅崎は、リーダーとしての覚悟が強く、練習から率先して声を出し、コニュニケーションを図る。そして7月31日には鹿児島からサイドアタッカーの野嶽惇也を補強。残留に向けてチームは生まれ変わろうとしている。

 後半戦の巻き返しを図るためには、これまで積み上げた片野坂サッカーをブレずに遂行し、前向きにチャレンジしていく姿を取り戻すべきだ。エンリケは最終ラインの核として存在を示し、先ごろ加入した呉屋と梅崎の新戦力は、攻撃時のスムーズな流れを生み出している。それに呼応するように長沢の得点力や香川勇気や井上健太のサイド攻撃が生かされていくはずだ。
 

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