【中断明けの青写真|川崎】ドイツ挑戦の田中らの穴をカバーできるか。注目は若手のさらなる突き上げ

2021年08月03日 本田健介(サッカーダイジェスト)

開幕から無敗を貫く

夏の新戦力がいない現状で目を向けたいのは、若手のさらなる突き上げ。“ギラつき”を放っているFW宮城は要注目だ。(C)SOCCER DIGEST

 東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J1の川崎フロンターレを取り上げる。

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 ここまでのパフォーマンスは、ケチのつけようのない盤石なものである。東京五輪での中断までに、リーグ22試合(18勝4分)、ACL6試合(6勝)、天皇杯2試合(2勝)、そして開幕直前のゼロックス・スーパーカップと31試合を戦い、いまだ無敗。王者たる所以をこれでもかというほど見せつけているのだ。

 昨季から導入した4-3-3の成熟度は高いレベルで向上しており、ハイライン&ハイプレスの強度、展開に応じた柔軟な振る舞い(状況によって試合途中に4-2-3-1を採用することも)、ポゼッションや崩しの質など様々な面で、Jリーグトップのサッカーを示している。

 時期尚早であるのは十分に承知しているが、前半戦の成績を鑑みれば、リーグの無敗優勝、そして悲願のACL制覇にも期待が高まると言えるだろう。

 もっとも田中碧のドイツ2部デュッセルドルフへのレンタル移籍が決まり、海外移籍の噂がある三笘薫の去就も流動的(現状でシステムには含めず……)。さらに戦列復帰後、調子を上げていた大島僚太が、直近(7月21日)の天皇杯・千葉戦で負傷交代した。8月1日の練習では大島、そしてACLで負傷していた小林悠はランニングメニューなどをこなしていたが、少なくない不安材料を抱えているのも事実である。

 そこで、夏の新戦力がいない現状で目を向けたいのは、若手選手たちのさらなる突き上げだ。

 以前に鬼木達監督に話を訊いた際、若手たちが台頭しそうな空気が今のチームには漂っていると、目を細めていたのが印象深い。それを象徴するかのように、天皇杯やACLではフレッシュな人材が躍動した。
 
 個人的に注目しているのはプロ2年目のFW宮城天。昨季、トップ昇格後にJ3の富山へレンタル移籍していたタレントは、左ウイングとして果敢に仕掛け、ACLの北京戦では川崎での初ゴールをマーク。"ギラつき"を放っているのも興味深い。

 また最終ラインでは、三笘や旗手怜央の同期、大卒2年目のイサカ・ゼイン、神谷凱士らが奮闘。イサカはレギュラーの山根視来の負担が増していた右SBで、持ち味の攻撃力を発揮しており、レフティの神谷は左SBとCBとしてチームに貢献している。ここまでコツコツと真摯にトレーニングに取り組んできたふたりに、そろそろスポットライトが当たっても良いのではないか。
 

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