金田喜稔がフランス戦を斬る!「意地を見せた上田綺世。枠に飛ばす高いシュート技術は見事だ」【東京五輪】

2021年07月29日 サッカーダイジェストWeb編集部

上田は勝利のカギを握る存在だった

久保の1点目、酒井の2点目を演出した上田。1トップの座を巡る林とのハイレベルな競争も楽しみだ。写真●金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 2連勝で迎えたグループステージ最後のフランス戦、日本は4-0の勝利を収めた。完璧やったな。久保、酒井、途中出場の三好と前田もゴールネットを揺らした。参加16か国中、唯一のグループステージ全勝で準々決勝進出を決めてみせた。

 立ち上がりは慎重な入りだった。決勝トーナメントに進むためには2点差以上の勝利が必要だったフランスは、果敢に攻めに出てくる。それに対して日本は慌てることなく、隙のない守備で対抗していく。

 やや膠着状態というか、日本がしっかりと守って、カウンターを狙うという展開になりそうななかで、27分にスコアが動く。決めたのは久保だ。これで3試合連続ゴール。やっぱり凄いよ。

 決めきる力はもちろん、ゲームメイクの質も高い。自分で攻撃を組み立てて、チャンスに絡んで、そして最後に仕留める。運とかツキのようなものも持っているよね。今回のオリンピックは"久保の大会"になりそうなぐらいの活躍ぶりだ。

 久保の先制点につながったのが、1トップで今大会初スタメンを飾った上田のシュートだ。角度のないところから強烈な一撃を放つ。相手GKが弾いて、そのこぼれ球を久保が蹴り込んだ。次の酒井のゴールも、久保の1点目とまったく同じような形で上田のシュートが起点になっていた。

 結果的に上田はこの試合、無得点に終わったけど、2つのゴールに絡むなど、勝利のカギを握る存在だったと言っても過言ではない。シュート技術の高い選手で、しっかりと枠に飛ばせる。これは大きいよ。決まらなくても、何かが起きる可能性は高まるんだから。
 
 過去2試合は林が1トップで先発して、良いプレーを見せていた。それに負けまいと、上田も意地を見せる。こういったハイレベルな争いはチームにとってプラスに働くものだ。

 その意味では、三好や前田が結果を出したことも、戦力の底上げにつながったと思う。さらには冨安も戻ってきた。負傷明けで、少なからずミスが目立ったし、フィードも今ひとつではあったけど、1対1の強さなど落ち着き払ったディフェンスはさすが。レベルの違いを見せつけたと思うよ。
 

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