史上初の2部チーム優勝で幕を閉じたアミノバイタルカップ。決勝はPK戦11人目にまでもつれ込む大熱戦に!

2021年07月27日 安藤隆人

決勝は関東1部の強豪・法政大と、初のファイナル進出を決めた同2部の産業能率大の対戦

アミノバイタルカップ初優勝を飾った産業能率大。写真:安藤隆人

 決勝にふさわしい激闘だった。アミノバイタルカップ決勝は関東大学リーグ1部の強豪・法政大と、今大会で快進撃を続け、初の全国となる総理大臣杯出場と初のファイナル進出を決めた関東2部の産業能率大の間で行われたが、まさに一進一退という言葉がぴったりな白熱のゲームとなった。

 川崎フロンターレ内定のMF松井蓮之、横浜FC内定の田部井涼、京都サンガ内定の田中和樹、町田ゼルビア内定のFW佐藤大樹と4人の内定選手がメンバーに名を連ねる法政大は、立ち上がりからボランチの松井が鋭い読みと球際の強さを生かしたボール奪取と抜群のキープ力で中盤に落ち着きをもたらすと、最前線の佐藤の裏抜けとポストプレー、右サイドハーフの田中の突破力を駆使して攻勢に出る。

 だが、これまで1部の筑波大、同じ2部の東洋大を撃破し、準決勝では同じように快進撃を続けてきた東京都リーグ1部の山梨学院大を2-1で退けて勝ち上がってきた産業能率大の組織的なサッカーはこの試合でも手堅いものがあった。

 矢口聖真を中心にした3バックは佐藤を常にマークしつつ、最後尾のキャプテンGK牧野恋音の的確なコーチングと連動して、後方から飛び込んでくるFW中井崇仁、松井らの動きも視野に入れて的確なチャレンジ&カバーを繰り返す。さらに川人太陽と小野寺亮太のダブルボランチも3バックの距離感を見て、ディフェンスラインに落ちるなど綻びを作らなかった。
 
 スペースをきちんと消してくる産業能率大に対し、法政大が攻めあぐねると、徐々に産業能率大の攻撃の歯車が噛み合い出す。前線の1トップ菅原龍之助がフィジカルの強さを生かして起点を作ると、湘南工科大学付属高時代はプロのスカウトの熱視線を浴びていた期待の2年生アタッカー川名連介と、元浦和レッズの城定信次を父に持つ3年生FW城定幹大の2シャドーが前向きでボールを受けられるようになった。

 スコアレスで迎えた後半、川名が積極果敢なドリブルで法政大の守備ラインを下げると、59分には川名がドリブルでペナルティエリア内左に侵入すると、ニアに走り込んだ菅原にグラウンダーのクロス。これがギリギリのところで法政大GK近藤壱成が抑えて難を逃れたが、産業能率大の方に攻撃の勢いが出てきた。

 守勢に回ることになった法政大は、65分に佐藤に代えてFW飯島陸を投入。攻撃のテコ入れを図ると、68分には松井がカットインから相手DFをなぎ倒して、強烈な左足シュート。これは惜しくも枠を逸れたが、試合はここから膠着状態に陥った。
 

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