市川大祐が見たメキシコ戦、際立っていた林大地と遠藤航の貢献。交代選手たちの奮起が今後の躍進のカギだ!【東京五輪】

2021年07月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

前半非常に際立っていたのがファーストディフェンダーの粘り強さ

最前線で精力的に動いた林(左)と、持ち上がりでも相手の脅威となった遠藤(右)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 U-24日本代表はメキシコ戦で2-1の勝利。グループステージ2連勝でA組の単独首位になりました。

 メキシコ戦では、オリンピック前の強化試合からあった守備の意識が、チーム内で浸透していることがより感じられる試合でした。

 局面でのバトルももちろんですが、しっかりとコースを切って限定し、相手の縦パスを狙う。全体的にコンパクトな陣形を保ち、相手に簡単にプレーさせない、スペースを与えないという戦いができていました。

 メキシコは、引いて自陣でブロックを形成していた南アフリカと比較しても、しっかり自分たちでボールを握って主導権をとるサッカーをしたいチーム。もちろん狭いスペースのプレーも上手いのですが、前半は特に、メキシコが窮屈そうにしていましたし、フラストレーションが溜まるような状況が多く見られました。

 日本がそういう状況に追い込めた要因は、10分間で2得点を奪ってリードしたということももちろんありますが、ファーストディフェンダーの粘り強さです。前半は非常に際立っていました。

 最初のディフェンスが簡単に外されないことで次の選手が狙いやすく、相手が顔を上げられない状況がすごく多かった。そのため、メキシコは日本の背後へのボールもほぼ出せなかったですし、そのためよりコンパクトな陣形が保てた。

 林大地選手、久保建英選手、堂安律選手、相馬勇紀選手。前線の選手たちは、ただボールを奪いに行くだけじゃなくて、考えて寄せることができていました。背後にいる相手選手をマークし、意識しながらパスコースを切ってボールへアプローチする。それに対してほかの選手たちは、出されるパスコースを予測し、狙いを持って強くチャレンジできていました。

 相馬選手がPKを得たシーンでは、その前に、相馬選手が外のパスコースを切ったところに、田中碧選手がボールを奪いに行って繋がったチャンスです。前線の選手がコースやプレーを限定しながらアプローチしてくれたことで、後ろの選手も狙いが非常につけ易かった。
 
 そんななかで注目したプレーヤーはふたりいます。

 まずは林選手。コンパクトな戦いができたのは、林選手が前線で起点になれたことが非常に大きかった。中盤で奪ったボールを前に素早くつけることができて攻撃にリズムが生まれていましたが、それは林選手がしっかりと身体を張って、時間やタメを作れたことで周囲が生きてきた結果でもあります。

 同時に守備の部分では、身体を投げ出してボールを奪いきるということもできていて、ゴールこそなかったですが、ファーストディフェンダーとしてチームにとって非常に大きな働きをしていました。

 次に遠藤航選手です。中盤でのボール奪取力はいまさら説明するまでもありませんが、メキシコ戦では、奪ったあとに前にボールを持ち運ぶところも非常に良かった。ドリブルしている時のコース取りが非常に上手く、相手の進路に入っていく。守備が得意な選手でもあるので、相手がどこにドリブルされたら嫌なのかが分かる。そう思わせるような、状況を判断し、考えられたプレーでした。

 そんなプレーに集約された、しっかりとした守備からの攻撃。引いて守るだけの守備ではなく、攻撃するための守備というのがチーム全体で共有できていました。

 高いエリアでボールを奪って、そのままゴールに向かっていく。相馬選手も堂安選手もペナルティエリア内で仕掛ける場面がありましたし、攻撃面では「個」で前進できる選手が増えてきているというのも大きな点です。サポートがなくても独力で前進し、個の力で陣地を奪えるというのも頼もしい限りです。

 また、守備面では日本の身長の高さのメリットも今回は発揮されていました。特にディフェンスラインでサイドバックが競れるのは強みだと思います。相手のロングボールに対して、左の中山雄太選手、酒井宏樹選手が競り勝てるのは今までにあまりなかった部分。後半のキックオフ時に酒井選手を上げて、そこへロングボールを入れて競らせるということもやっていましたし、戦い方の幅を出すうえではひとつの武器になるかもしれません。
 

次ページどこかで必ず耐える時間帯は出てくる

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