金田喜稔がメキシコ戦を斬る!「先制点演出、PK成功、献身的な守備…堂安律の貢献度は群を抜いていた」

2021年07月26日 サッカーダイジェストWeb編集部

68分以降を考えれば“0-1”

PKを確実に沈めた堂安。勝利の確率をグッと高める貴重な2点目だった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

[東京五輪グループステージ第2節]U-24日本2-1U-24メキシコ/7月25日/埼玉スタジアム2002

 まず、立ち上がりから日本の守備がうまくハマっていたと思う。

 メキシコは4バックの両サイドを上げて、アンカーがセンターバックの間に下がり、後ろを3枚にしてビルドアップしてくるのが特長だ。

 そこに対して日本は、1トップの林とトップ下の久保が対応。そこだけを切り取れば2対3と数的不利ではあるけど、相手の思い通りにはさせていなかった。

 肝となったのは久保。相手のアンカーをしっかりと監視して自由にさせなかった。さらに、林が精力的に動き回り、状況に応じて両サイドの堂安や相馬も加わって、けん制する。

 日本の連動した守備を前に、メキシコ側が長いパスを入れてくれば、ダブルボランチの遠藤と田中、両サイドバックの酒井と中山が狙いを絞って受け手にアタックする、あるいはインターセプトできるポジションを取る。

 こうした組織的なディフェンスができていたことが、大きな勝因だったと思う。

 そして、日本は前半に2点を奪ってみせる。1点目は堂安のクロスに久保が飛び込む形。堂安からすれば、久保はここに入ってくるだろう、と。久保からすれば、堂安はここに出してくれるだろう、と。まさに"あうん"の呼吸だったね。

 日本が攻撃でも守備でもペースを掴むなかで、堂安のPKでリードを2点に広げる。勝利の確率をグッと高める貴重な2点目だった。

 1ゴール・1アシストと決定的な仕事を果たした堂安は、守備も献身的にこなしていた。中盤で相手の選手がフリーにならないようにすかさず戻って、穴を作らせない。
 
 先制点をお膳立てし、PKを決め、守備も手を抜かない。さらには、相手を退場に追い込む鋭い動き出しもあった。その貢献度は群を抜いていたね。

 メキシコがひとり退場したのが68分。リードは2点。残り約20分間をどう戦うか。相手はバランスを崩してでも攻めてくる。そうしたシチュエーションで、たとえば横パスを入れればいいのに、あえて縦につけようとしてうまくいかなかったりという場面もあった。

 11対10の戦いだから、有利な立場にはある。3点目を取る可能性も決して低くないし、序盤から守備の安定感も見せていた。慌てる必要はないのだけど、結果的に1失点してしまっている。

 勝っている状況で、ひとり多い優位性をいかに活かしてゲームを進めるか。その点は改めてチーム内で共有すべきではないだろうか。勝ったゲームであまりうるさいことは言いたくないけど、68分以降を考えれば"0-1"。ひとり少ないチームに負けている。そこは少し気になったし、修正すべき部分だと感じている。

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