市川大祐が疲労困憊の吉田麻也に感じた微かな懸念。我慢比べになりそうなメキシコ戦への課題と光明

2021年07月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

日本としても目指すべき戦い方はある程度出来ていた

市川氏はタスクの多い吉田に頼り切りになってはいけないと警鐘を鳴らす。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 日本の東京五輪初戦は、久保建英選手の一発で白星発進となりました。

 しかし、南アフリカからすれば、久保選手に1点はとられはしましたが、自分たちの狙い通りの形でプレー出来ている試合でもあったと思います。

 立ち上がりは日本が押し込んでいましたが、局面での対応は試合の時間が経過するにつれて南アフリカが増していったというイメージがあります。もちろんチャンスはあったのですが、日本の攻撃に対して、相手が上手く対処したことで、なかなか得点が生まれなかった。

 久保建英選手、堂安律選手が右サイドからカットインしてくるプレーに対して、中の選手が1対1にせず、1対2の状況、ドリブルで交わされたところを次の選手が狙うような対応も見えました。

 南アフリカの選手の1対1の局面の強さもありましたが、後ろの選手のカバーリングというか、守備への関わりの意識も高かったです。

 守備意識はこの試合を通してのチームのコンセプト、現実的な狙いだったと思います。後半の最後のように、勝負所で人数をかけて点を取るというゲームプランだったのではないでしょうか。

 ワントップのところにボールが収まったときには飛び出して行く一方で、そこで収まらなければ、すぐにポジションを整えて守備を構えるというところがはっきりしていました。
 
 日本としても目指すべき戦い方はある程度出来ていたと思います。

 相手がしっかりとブロックを作って守ってくる状況で、なかなかスペースもないなか、自分たちでしっかりとボールを保持しながら、粘り強く攻撃を仕掛け続けたのは良かった部分だと思います。

 3人目の関わりでサイドを突破し、コンビネーションでの崩しもあり、良い試合の入り方が出来たと思います。

 特に、相手が中央を固めてくるなか、中央に相手を集結させてそこからサイドへ展開するという工夫が見えたのは良かったです。サイドだけでボールを動かしていると、相手の陣形がバランスよく保たれ、一人ひとりが守れてしまいます。一度中に入れて、ゴールへ向かうプレーをすることで、相手を中央に集結させて、フリーな状態でサイドからクロスを上げられていたことは良い点だったのかなと思います。

 課題はもちろんありましたが、可能性を感じた点も二つあります。

 ひとつは、前半5分に遠藤航選手が相手のゴール前でプレッシャーをかけて、それを林大地選手が反応してファウルを受けた場面。久保選手がFKを蹴ったシーンです。奪われた瞬間に守備の密集、連係、連動というのが見られた良いシーンでした。

 しかし、試合を通して、密集を作りかけるのですが、そこで誰がアプローチに行くのかというのがはっきりせず、相手に前を向かれたり、ターンされたり、逃げられるようなところがあって、ボールを奪いきることが思うようにできませんでした。全体で人数はいるけど、誰がそのボールに行くのか少しはっきりしない部分が見られました。

 縦パスが入ってしまい、ディフェンスと中盤の間のスペースに対してミドルパスが出されて、そこで起点を作られてしまい、中盤の選手がバックしてそこを挟むのか、ディフェンスラインの選手がそのボールに対して強くアタックするのか、いくつかはっきりしない場面もありました。
 

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