「省エネで勝つ」どころではなかった南アフリカ戦。1ゴールで終わったことがGS突破にどう響くか

2021年07月23日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

ブロックを作る南アフリカを崩しきれない

1-0で南アフリカを破った日本。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 ついに幕を開けた東京五輪の初戦で、U-24日本代表は南アフリカに苦戦を強いられた。

 グループAの中で最も力が落ちると見られた南アフリカは、新型コロナウイルス陽性者と多数の濃厚接触者が出て、試合の開催すら危ぶまれた。20日の会見で、デイビッド・ノトアン監督は選手が揃わないことを嘆いていたが、蓋を開けてみれば、手強い相手だった。

 立ち上がりから日本が圧倒的のボールを支配するものの、守備時は5―4-1となってブロックを作る南アフリカを、なかなか崩しきれない。時折繰り出すカウンターに、ピンチを招く場面もあった。

 ボランチの遠藤航が「立ち上がりからエンジン掛けていこうと思ったが、相手が落としてきたのでテンポが上がらなかった。あれだけブロックを引いてたら、そんなに縦に行ったり来たりとはならない」と語ったように、日本はハイプレスをかけず、じっくりと堅牢を攻略する策を採った。

 久保建英や三好康児に決定機がありながら決め切れず、前半は0―0。怖いのは焦りだったが、「後半、焦り出るかなと思ったが、みんな落ち着いていた」(遠藤)、「チーム全員で焦れるなと声を掛けていたので、問題なく最後まで攻撃できた」(堂安律)と、選手たちは落ち着いていたようだ。
 
 森保一監督が、ハーフタイムに「前半はチャンスを作れていたので、ゴールへの意識を高めていこうと伝えた」という後半は、ややテンポが上がったものの、日本の攻撃に"慣れてきた"相手に防がれる。

 60分に切り札の相馬勇紀を投入し、さらに旗手怜央と上田綺世の交代を準備していたところで、右サイドで田中碧からサイドチェンジのパスを受けた久保が、値千金の決勝弾。その後は危ない場面もあったが、凌ぎ切った。

 ほぼ中2日で試合が続き、決勝まで7試合あることを考えると、この南アフリカ戦は「いかに省エネで勝つか」がテーマのひとつだったが、それどころではなかった。

 ただ、優勝候補筆頭のスペインがエジプトとスコアレスドローに終わり、韓国がニュージーランド、アルゼンチンがオーストラリアに敗れたことからも分かるように、こういった大会の初戦は本当に難しい。

 その意味では、苦しみながらも勝点3を奪ったことが何よりの収穫だ。ただ、メキシコ、フランスとの試合が控えていることを考慮すれば、得失点差をつけておきたいところだった。1ゴールに終わったことがグループステージ突破にどう響くか。それは今後の戦い方次第だ。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)

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