「もっとやれよ!」。上田綺世の成長を促した法政大時代の“ベストパートナー”【東京五輪代表のルーツ探訪】

2021年07月26日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

上田の成長を促したふたりのチームメイトは…

法政大時代、前線でコンビを組んでいた上田(写真左)とディサロ(写真右)。長山監督は「強烈な2トップ」と評した。(C)SOCCER DIGEST

 東京五輪を戦っている上田綺世は、プロ入り前はやはり法政大時代が最も目覚ましい活躍を見せていた。1年生時からスタメンを勝ち取ると、総理大臣杯の優勝に貢献し、2年生時にはチームを全日本大学選手権(通称インカレ)制覇に導いた。

 法政大の長山一也監督も「大学時代の綺世は結構順調だった」と回顧した。

「綺世は入部当初からゴールを決める作業で非凡な才能がありました。点を取ることに特化していたところがありましたが、そこに加えて、ポストプレーや守備など、プレーの幅も広がっていった。やれることが増えていったという印象はありますね」

 得点以外の働きは長山監督が教えたお陰もあるが、逆に指導者視点では上田から「吸収力の良さをすごく感じた」という。そして1年生時に出場した総理大臣杯決勝戦(vs明治大/〇1-0)で決勝点を奪ってからは自信がつき、成長スピードが加速。「2年生の終わり頃にはずば抜けた存在になっていた」(長山監督)ようだ。
 
 上田の飛躍は長山監督の指導の賜物でもあるが、成長を促したチームメイトもいた。

「寮で部屋が一緒だった森岡(陸/現・磐田)とは刺激し合っていたと思います。彼は外国人のように絡めとるようなディフェンスができて、柔軟性もあった。守備が強い同期がいたのは大きかったかと。練習で見せる綺世と森岡の1対1は面白かったですね。

 あとは、2学年上のディサロ(燦シルヴァーノ/現・清水)。綺世は、ある程度は守備をやるようになったとはいえ、まだ少し物足りないところはあって。ただ、そこはディサロが『綺世、もっとやれよ!』と言ったりしていました。厳しくしつつもディサロは根が優しいので、綺世が守備をできていない時は上手くカバーしていましたね。あの2トップは強烈でした」(長山監督)

 とりわけ、前線でコンビを組んだディサロは"ベストパートナー"とも言える存在だっただろう。2017年の総理大臣杯決勝では上田が、18年のインカレ決勝(vs駒澤大/〇1-0)ではディサロが決勝ゴールを奪取。「強烈」な2トップを形成し、法政大のタイトル獲得に貢献した。

 法政大時代と同じように、U-24代表にもお互いの力を引き出し合えるチームメイトは多い。仲間と相互補完の関係を築く上田は、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。東京五輪のグループステージ第3戦、フランス戦の活躍にも注目だ。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)

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