【2015インターハイ】代表校レポート|ハードワークをベースに佐賀学園が8年ぶりの全国へ

2015年06月05日 安藤隆人

全員でコツコツと積み上げるサッカーを。

8年ぶりのインターハイ出場を決めた佐賀学園。ハードワークをベースに、攻守両面でタフに粘り強く戦うチームだ。

 監督就任1年目、コーチから数えると3年目の北村普浩監督が率いる佐賀学園が、8年間閉ざされていた全国の扉をついにこじ開けた。
 
 佐賀東との決勝戦。前半、絶対的エースであるFW三宮捷を軸にしたアタッカー陣が、動きの硬かった佐賀東を翻弄した。
 
「人とボールが動いて、守備でもさぼらずにしっかりとチャレンジする。これにこだわって3年間指導してきた」と北村監督が語ったように、三宮と臼井滉裕の2トップ、吉川極心と中島啓太の両サイドハーフ、中嶋十夢と藤原綾人のダブルボランチが精力的に動いて、スペースを巧みに活用して攻撃のリズムを掴んだ。
 
 前半ロスタイムの36分には、中央でボールを持った三宮のパスを受けた藤原が強烈なシュート。これは佐賀東GK中島豊輝が足で弾くが、こぼれ球に反応した臼井が、無人のゴールに豪快に蹴り込んで、先制点を挙げた。
 
 後半、佐賀東が攻勢に出るものの、大坪正幸と三浦翔哉のCBコンビ、左SBの主将・野村一平を軸に、相手の出足に負けない鋭いアプローチとカバーリングで対応。さらに2年生GKの吉富大隼がファインセーブを見せるなど、高い集中力で1点のリードを守りきった。
 
「ようやく県内で勝てるようになってきた。まだまだ全国レベルではないけど、三宮をはじめ、去年のメンバーがいるし、自分が3年間やってきて、ようやくやりたいサッカーができるようになった」(北村監督)
 
 これでインターハイ出場は、地元開催で佐賀2位として出場した2007年度以来12回目となる。県内を制しての全国大会出場は、01年度の選手権まで遡る。近年は佐賀東、佐賀北の2強に加え、古豪・佐賀商の後塵を拝していたが、昨年の選手権予選では決勝に進出。そこで佐賀東に敗れ、今年の新人戦ではまたも決勝で、佐賀北に敗れたが、着実に県内タイトルに手が届く位置まで力をつけていた。そして、ついに今回、悲願達成を成し遂げた。
 
 この悲願達成の立役者となったのが、エースの三宮だ。中学時代は鳥栖U-15唐津に所属し、ナショナルトレセンにも選出されている。鳥栖U-18へ昇格する道もあったが、佐賀学園を選んだ。卓越した個人技を武器に1年生の頃から主軸として君臨した三宮は、3年になって責任感が増し、周りの選手をサポートしたり鼓舞するなど、チームにとって欠かせない大黒柱にまで成長した。一方で、チームメイトもエースに頼りすぎることなく、ハードワークをベースにした戦いを継続することで、さらなるまとまりを見せている。
 
「インターハイまでに急になにかが向上する訳ではないけど、このチームは点を取れる。だからこそ、いかに失点をしないか。さぼらないで、全員でコツコツと積み上げるサッカーをやっていきたい」(北村監督)
 
 やるべきことはひとつ。これまでやってきたことを変わらず地道に続けていくこと。重い扉をこじ開けた選手たちが、積み重ねてきたものを信じて、新たなステージに挑戦する。
 
取材・文:安藤隆人
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