【セルジオ越後の天国と地獄】FIFAのような権力の中枢では、きれいごとだけでは通用しない

2015年06月04日 サッカーダイジェスト編集部

調べ出したら、キリがないんじゃないかな。

FIFA本部が家宅捜索されたりと、連日のニュースで様々なことが明らかにされているけど、ただ、関係者は皆、分かっていたんじゃないのかな。(C)Getty Images

 ワールドカップ招致に絡む賄賂やスポンサーの利権争いなど、一連の汚職事件によってFIFAが大きく揺れているね。
 
 複数人の幹部が逮捕されたり、元理事が賄賂を認める発言をしたり、FIFA本部が家宅捜索されたりと、連日のニュースで様々なことが明らかにされている。ただ、こうした事象は昔からあったことで、関係者は皆、分かっていたんじゃないのかな。起こるべくして起きた事件で、なるようになったという感じだね。
 
 ある意味、これだけ長い間、ほったらかしにされていたことのほうが問題だよ。
 
 今回の一連の事件については、アメリカが力を入れて捜査しているけど、もし自国開催だった94年のワールドカップにまでさかのぼって調べたら、彼らにとっても具合の悪い事態に陥るかもしれない。
 
 つまるところ、権力が集まりすぎているところでは、きれいごとだけですべてがまかり通るとは思えないんだ。プレゼンテーションをするだけでビッグイベントを招致できると本気で思っていたら、それはあまりにもナイーブすぎる。そんな甘いものではないよ。
 
 プレゼンが上手くいかなければ接待もするだろうし、それをやらない組織なんて果たしてこの世の中にあるのだろうか。それがビッグビジネスの世界であり、目的を達成するためにどれだけのお金をつぎ込むのか。いわばオークションのようなものなんだ。
 
 今はFIFAが腐敗した組織として大きく取り沙汰されているけど、FIFAと同等の権力が集中している組織で実際になにが起きているかを考えてみれば、そこまで大騒ぎすることではないのかもしれない。
 
 だからこそ、気を付けなければいけないとも思うんだ。金額の大小の問題ではない。汚職の仕組みは一緒なんだから。日本でも少し前にアギーレの八百長問題が取り沙汰されたけど、華やかな世界のすぐ裏側には、残念ながら不当に利益を得る悪い人間が存在している。
 
 ワールドカップやオリンピックなど、スポーツは多くの人に夢や希望を与える世界だけど、その裏側を細かく調べ出したら、キリがないんじゃないかな。サッカーに限らず、疑惑はどんどん出てくるだろうね。
 
 日本社会でもこれまで似たような汚職のスキャンダルがあったと思うけど、誰かが責任をとって辞めるなどして、それなりに穏便に収めてきたはず。適当なところで手を打ち、早くこの一件を終わりにしたいと考えている人は、FIFA内部にも、捜査関係者のなかにも、意外と多いかもしれない。
 
 いずれにせよ、今回の事件を受けて、FIFAをはじめとした各関係者はきちんと襟を正し、それぞれの仕事に専念するしかない。そうやって、時にダーティな一面を覗かせる世界に、秩序を保っていくしかないんだろうね。
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