【釜本邦茂】早く3点目を取っておけばもっと楽に勝てた。敵の意表突く前田の動きが良かった

2021年07月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

前半がパーフェクトに近い内容だっただけに、後半のペースダウンが余計に顕著に見えた

後半はペースダウンした日本だが、前田の縦を突いていく姿勢が攻撃を再び活性化した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 U-24日本代表のホンジュラス戦は、3-1で勝ったものの課題も見えた内容だった。

 立ち上がりは、激しい守備とテンポの良いパス回しで主導権を握ったのは非常に良かった。相手をほとんど自陣に押し込んで、何もさせないくらいで、そんな中でセットプレーから吉田麻也が先制点。さらに前半終了間際に林大地のポストプレーから堂安律が押し込んだ。

 その後、早く3点目を取っておけば、もっと楽に試合を運べたはずだし、実際にチャンスもあった。左右から切り込んで行く形はできていたにもかかわらず、なかなか点が取れない。前田大然や久保建英もゴール前でチャンスはあったが、決め切れなかったり、潰されてしまうシーンもあった。

 また、局面でのフィジカル勝負になると、当たり負けしてしまう場面も目立っていた。できれば、相手がアプローチに来るタイミングを外し、自分たちの間合いに潜り込ませないようなボール回しができればいい。そのためにはもっとスピーディなパス回しをしたいところだが、ちょっと手数をかけすぎてスローダウンしてしまう場面もあったし、ボールを持ちたがる選手もいた。その間に相手に下がってしっかり守られると、打開の糸口が見えない時間帯もあった。
 
 前半がパーフェクトに近い内容だっただけに、後半のペースダウンが余計に顕著に見えてしまった。疲れてくることで判断が鈍り、パスを回すタイミングが遅れれば、ボディコンタクトの場面も増えて、やはり後手に回ることになってしまう。日本の俊敏性を活かしたパス回しだけでなく、3本、4本でゴール前に行ってしまうようなゴール方向へのダイレクトなパスももっと使ってもいいかもしれない。日本には足もとで受けたがる選手が多いから、前田のようなスペースへ果敢に飛び出していくタイプも敵の意表を突いていけるだろう。

 スコアとしても、3-0になってからの3-1なら完勝とも言えるけど、2-1にされてちょっと雰囲気が怪しくなった。本番では、そうなると途端に相手も勢いづいてしまう。それを防ぐためにも、得点は取れる時にしっかり取っておきたいし、サイドからゴール前に入れるボールなども、もう少し確実性を上げてほしいね。

 いよいよ大会が近づいてきた。本番モードへ意識を切り替えてワンプレーを大切にして次のスペイン戦に臨んでほしいね。
 
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