【2015インターハイ】代表校レポート|二枚看板を軸に四日市中央工が旋風を巻き起こせるか

2015年06月03日 安藤隆人

成長を示すエースの一撃で代表の座を射止める。

四日市中央工/所在地:三重県四日市市菅原町678 創立:1962年 創部:1963年 総体最高成績:優勝(1983、84年) 主なOB:坪井慶介(湘南)、浅野拓磨(広島)、内田智也(横浜FC)など

 津工との三重県決勝戦。エースの一撃が試合を決めた。
 
 複数のJクラブが触手を伸ばしているMF森島司は、ボランチの位置から攻撃の起点となるパスを供給するだけでなく、積極的にバイタルエリアに飛び出しては、フィニッシュワークも積極的にこなした。そして終盤に決定的な仕事をやってのける。
 
 0-0で迎えた後半31分、前線のFW伊藤圭都に縦パスが入った瞬間、森島は「FWを追い越して、そのままゴールに行こうと思った」と、右サイドから中央へ猛然とダイアゴナルラン。パスを受けた伊藤が、MF上田航大につなぐと、相手CBが一斉に上田に食いつく。次の瞬間、上田は追い越してきた森島にパスを落とすと、「あのファーストタッチにやられた」と、敵将・藤田一豊監督を脱帽させた絶妙なトラップで抜け出し、GKとの1対1を冷静に制した。これが決勝点となり、四中工が1-0で勝利を掴んだ。
 
「今年に入って、ボールの無いところでの動きを課題にやってきて、3人目の動きで決定的な仕事ができるようになりたいと思っていた。ずっとこだわっていた形でゴールができたことは本当に嬉しい」と、自らの成長を示す一撃に、エースの表情は緩んだ。その姿に樋口士郎監督も「あいつは本当に成長している。頼もしい限り」と信頼を寄せる。
 
 しかし、その一方で樋口監督は「颯のプレーにミスが多いのが気になる。伊藤ともコンビが良くなかった」と、森島とともに今年のチームの二枚看板のひとりであるMF小林颯のプレーに苦言を対した。
 
 小林は、年代別代表にも選出経験があり、高い技術と俊敏性、シュートセンスで1年生の頃からレギュラーとして活躍してきた。だが、樋口監督の指摘通り、準決勝、決勝ではプレーに精彩を欠いていた。

次ページ二枚看板のひとり小林の復調が全国躍進の鍵に。

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