“アジアの大砲”が考える得点への方法論。J2最下位の相模原、焦れずにやり続けて光明を見出したい

2021年07月11日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「1回で決められないなら、2回、3回、4回と」

得点力不足に悩む相模原。高木監督は「ピッチ外でも、やれることはすべてやる」と気合いを入れる。(C)SOCCER DIGEST

 恵まれたフィジカルを利して、迫力あるフィニッシュでゴールネットを揺さぶる。代表でも、クラブでも、数多くの印象的な得点を重ねてきた。その活躍ぶりで現役時代は"アジアの大砲"と恐れられた元日本代表FWの言葉だからこそ、説得力がある。

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 6月の途中就任でSC相模原を指揮する高木琢也監督は、点を取るのは「主語になる人」と表現。「僕がシュートを打つわけでなければ、複数の選手で打つわけでもない」。ボールを相手ゴール前に運ぶのは、複数人が協力しあってできる。だが、最後の仕上げは個人の仕事になる。

 シュートが決まる時もあれば、外してしまうこともある。誰の助けも借りることはできない。すべての責任を背負う、孤独なタスク。それを"個の資質"だけで語るのは簡単だが、「それでは話が進まない」と高木監督は言う。

「決めるところで外してしまうとか、入らないとか、必ず問題がある。技術を気持ちでカバーとか、気持ちを技術でカバーするとか。何かしらあると思うので、そこは追求しないといけない。どうしたらいいかを考えていかないと」

 指導者として、様々なアプローチがあるのだろう。「たとえば選手と話すことによって、それで選手にアイデアが浮かぶとか、気持ちが切り替えられるとか。それだけでも違うんじゃないか」。無駄なことかもしれない。良くなる可能性は数パーセントかもしれない。それでも「ピッチ外でも、やれることはすべてやる」と指揮官は気合いを入れる。

 メンタルへの働きかけはもちろん、チームとしての準備も怠らない。

「どれだけ個に優れるストライカーがいても、周りのサポートがなければボールは来ない。それでは点を取るということは成立しない。チームとしてやるべきことをやらないと、ゴールを奪うのは難しい」
 
 シーズン前半戦の21試合を終え、J2の最下位に沈む相模原の総得点11はリーグワーストの数字。ただ、連続ドローとなったリーグ戦の直近2試合を見ても、以前より好機の数は確実に増えてきている。0-1で敗れた浦和レッズとの天皇杯3回戦でも、格上相手にいくつかゴールチャンスを作れていた。

「決定機があったとしても、それを何回も繰り返していかないと。1回で決められないなら、2回、3回、4回と作っていけばいい」

 今は生みの苦しみかもしれない。焦れずにやり続けることで、まずは現体制下でのリーグ戦初勝利を掴みたい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)
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