「踏ん張って頑張るしかない」強い決意で浦和を飛び出した藤原優大の奮起が、相模原にパワーをもたらす

2021年07月01日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「それを達成したかったし、達成できなくて悔しかった」

浦和からレンタルで相模原に加入した高卒ルーキーの藤原。ポテンシャルは誰もが認めるところで、新天地での飛躍を期待したい。(C)SOCCER DIGEST

 掲げた大きな目標がある。J1の浦和レッズから育成型期限付き移籍でJ2のSC相模原に加入したDF藤原優大は、新天地で2日目の練習を終えたあとの取材で、何度も口にした。

「浦和レッズを大きなチームにしたいんです」

 先日、19歳になったばかりの高卒ルーキーは本気だ。まずは1年目から試合に出て、チームを勝たせる、またそれが自分に求められていることだと思っていた。

 だが、思うようにはいかなかった。浦和での公式戦出場はルヴァンカップの2試合のみ。リーグ戦ではベンチ入りすら叶わなかった。

「もちろん、厳しい世界だと分かっていましたし、すっと入って活躍できるとは思っていなかったですけど、でもやっぱり、試合に出るという目標があった以上、それを達成したかったし、達成できなくて悔しかった」

 1年目はとりあえずプロの世界に慣れて――そんな考えは一切なかった。熾烈なレギュラー争いに勝って、ピッチ上で活躍する。だが、「どんどん試合に絡める回数も少なくなってきて、練習するなかで、周りの選手とのレベルの差も痛感しました。試合に出られなくても当然だなって自分でも十分に理解していたので。やっぱり……やっぱり、そういう世界だと改めて感じました」。

 青森山田高時代には選手権で活躍し、相当な注目と期待を集めて浦和入りを果たしたが、プロは「そういう選手が消えていく世界だと思っているし、それは理解しています」と、危機感を強めている。

「本気で頑張って無理だったら、それはしょうがない」

 ある意味、覚悟はできている。ただし、簡単にあきらめるつもりはない。厳しいプロの世界で生き延びていくには、どうすればいいか。「それを考えて、この移籍も選びましたし、本当に踏ん張って頑張るしかない」と言葉に力をこめる。
 
 なによりも実戦経験を積まなければならない。当然ながら、「ここで試合に出られると保証されているわけじゃない」ことは承知している。「激しい競争もあると思います。それに勝って、出場機会をしっかり確保して、そのなかで自分のストロングを磨き、足りないものを補いたい」。

 浦和を大きなチームにする。「できると思っています。でも、このままではできないのも分かっています」。自分自身の可能性と現状を客観視して、とにかくガムシャラにステップアップを期す。

 大志を抱く俊英の奮起が、残留を目指す相模原に絶大なパワーを与えてくれるはずだ。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)

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