【セルジオ越後】コロナ禍のACLは日本だけが本気? ベストメンバーで臨む意味などない大会だよ

2021年06月29日 サッカーダイジェストWeb編集部

中国は3軍、豪州は辞退、韓国も五輪代表の選手を外して参加

C大阪は中国の強豪・広州FCにも2-0で勝利。しかし相手の陣容は……。(C) CEREZO OSAKA

 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)が22日に開幕して、日本勢は4チーム全部が初戦に勝利したね。アジア王座奪還に向けて日本が好発進したと言えそうだけど、ちょっと今年は大会の様子が違うようだ。

 というのも、中国のチームはユースの選手も入れた3軍と言ってもいいようなチームを連れてきているし、オーストラリアのチームは出場を辞退し、韓国のチームも五輪代表となっている選手はチームに帯同していないようだ。ACLの優勝経験国のなかで、ベストメンバーで戦っているのはどうやら日本のチームくらいのようなんだ。

 ハッキリ言って、こういう大会にコンペティティブな価値はない。コロナ禍なんだからこうなっても仕方がない、というのなら、日本もベストメンバーで戦う意味なんかない。このグループステージの日程を全部しっかりこなしていたら、U-24日本代表に選出されている選手は、12日のホンジュラス戦に間に合わなくなってしまう。それどころか、選手は中2、3日の過密日程で怪我のリスクを負いながら試合をやる意味が見いだせないだろう。

 AFC(アジアサッカー連盟)も、ユースを連れてきたチームを咎めたりするわけでもないようだから、所詮主催者側も大会の価値をその程度と捉えているんだろう。だったら、なんで日本だけ真面目にやる必要があるんだろうね?
 
 結局、今回のACLにはみんな価値を感じていないんだ。なんでコロナ禍のなかでオリンピックもあるのに、感染リスクに慄きながら異国の地で2週間も缶詰めになって、ベストメンバーで過密日程を戦わなければならないのか。日本以外の国は、AFCのやり方にも何か不安を覚えたり、疑問を抱かざるを得ない部分があったんだろう。日本人は、上の言うことには本当に素直に従うよね。

 ただし、こうした事態が起こるのは、ACLだけに限ったことではないかもしれないよ。オリンピックでも、フランスの代表チームが選手の派遣を巡って揉めているというし、大会に相応しい実力のある選手があまり見られなくなる可能性は大いにある。ACL同様、五輪もモチベーションの低い大会にならないといいけどね。
 

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